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November 05, 2020

ÖBB西鉄道の今

202010310811月2日の晩、ウィーンで武装テロが発生したため、記事を差し替えました。さて、10月の当ブログですが、最もアクセスが多かった日は10月4日でした。アクセスが多かった記事は、「日本からオーストリアへの入国制限解除」、「新しいコロナ規制」、「ウィーンのクリスマスマーケット2020情報」などでした。時節柄、記事の内容に偏りがありますが、ご覧頂いた皆さまには深く感謝いたします。

今日は先日、コメント欄でお問い合わせがあった「ÖBB西鉄道の話題」をお届けしましょう。

ÖBBの西鉄道はウィーン-ザルツブルク間を結ぶ幹線で、日本の東海道線に当たります。それだけに所要時間短縮に向けて路線の改良工事が進められています。

2012年12月にはWien – St.Pölten間に60kmの新線(最高速度230km/h)が開業し、ウィーン-ザルツブルク間の所要時間は19分間、短縮されました。

2020103109また、1999年からはアウトバーンA1に沿ってSt.Pölten–Loosdorf間(24.7km)の新線建設が進められ、2017年12月から営業を開始しました。

この区間は、在来線も残っているため、事実上の複々線になり、貨物列車の輸送量が大幅に向上しています。

2020103102Ybbs–Amstetten間(16.7km)に関しては、2009年から新線建設工事が始まり、2014年12月から営業を開始しました。

この区間にはBlindenmarkt、Neumarkt / Ybbs-Karlsbachという新駅が2つ開業しました。なお、同区間も在来線が残されており、事実上の複々線です。この結果、ウィーン-リンツ間の高速新線建設プロジェクトは、事実上、完了しました。

2020103101Marchtrenk–Wels間(約6km)についても新線の建設が計画されています。この区間も在来線を残しながら新線を建設する方式(完成後は複々線)で、2021年着工、2026年竣工の予定です。

2020103103興味深いのは他の区間は在来線とルートが離れているケースが多いのですが、同区間は在来線と並行して建設される計画です。途中、アウトバーンに掛かる橋が3箇所ありますが、これらは新しくなります。

ÖBBが同区間の建設を紹介したビデオを公開しているので、ご紹介します。これを見ると、在来線と並行して新線が作られることがわかります。

Steindorf– Neumarkt間の改良工事は2019年に着工され、現在工事中。2021年の竣工が予定されています。

この区間は在来線の改良でNeumarkt–Köstendorfには島式2面のプラットホームを持つ駅が建設されます。更にSteindorfも近代的な設備を持った駅に改装されます。

2020103106残っている大規模な新線建設区間がKöstendorf– Salzburg(約20km)間です。この区間は、150年前に建設されたルートを使っているため、線形が悪く、高速化の障害になっています。在来線はWallerseeの北部を通っています。

2000年頃、新線建設が明らかになりましたが、沿線住民の新線建設反対運動が起こりました。

そこで、ÖBBは新線建設に当たって、住民参加の上で5つのルートを検討。2018年から環境アセスメントが始まりました。そのため、現時点では公式な新線建設ルートは公表されていません。

2020103107 概要は、KöstendorfからSalzburgKasernまで在来線とは大きく離れた直線のルートが検討されており、途中、2つの単線並列トンネルでKöstendorf、Schleedorf、Seekirchen、Elixhausen、Hallwangといった街を通過し、SalzburgKasernで在来線と合流します。トンネルでバイパスするため、途中には駅が出来ない可能性があります。

現時点では2024年に計画が正式決定(承認)される見込みで、その後、2025年頃、入札が行われ、2026年頃には着工される見込みです。

2020103105日本の新幹線建設と異なり、軌間が同一なので、新線建設は事実上の複々線化。そのため、RailJetに代表される高速旅客列車だけでなく、貨物列車も新線を使うことで、所要時間の大幅短縮、温室効果ガス削減につながります。

一方、平行する在来線も同一経営で残っているところから、ローカル列車の運行のみならず、貨物列車を使った輸送も可能です。そのあたり、線路の幅が同一なので柔軟な運用を組むことができますし、1つの線路を閉鎖して保守をすることも可能です。

ただ、線形や地形の関係もあり、ウィーン-ザルツブルク間、全線に新線が建設される訳ではありませんが、2025年頃には、西鉄道の高速化プロジェクトは完了する予定です。

なお、ヨーロッパでは一時、300km/hを越える高速化志向が見られましたが、環境や持続可能性を考慮して、最高速度を230km/h程度に抑える傾向が生まれています。そいうい意味ではÖBBの新線は、ある意味、先見の明があったのかも知れません。

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Comments

フランスのTGVやイタリアのフレッチャロッサが走行する高速新線の様に300キロ走行が当たり前な国もありますが、オーストリアの方は対照的に230キロに抑えているので、人によっては「あまり効果が低いんじゃないの?」と思うかもしれません。ただ、地理的に長大トンネルが多くなってしまうと、土砂の処分をどうするんだ?という問題が起きますし、騒音問題やら工事期間が長期間になる事への反感も考えられます。そうなると、「地元還元が低い高速新線は不要だ」と言われるので、なかなか難しい所ではあります。全区間に新線を造らずに一部区間のみというのも要所のみにして、最小限の建設に留めて大きな効果を生むという事でしょうか。

Posted by: おざきとしふみ | November 08, 2020 14:10

>おざきとしふみ様

もともとのんびりしているお国柄に加えて、国が小さいですからWien-Salzburg間が2時間で十分だと利用者の多くが考えているようです。また、オーストリアは特に「持続可能な社会」に力点を置いているため、エネルギー消費も考慮しているような気もします。

最高速度よりも主要峠でのベーストンネルの方が効果が高いと考えているのでしょう。

Posted by: Feri | November 09, 2020 08:31

なるほど・・・フランスやイタリア、スペインとは根本的に異なりますね。まぁ、ドイツのICEに乗り入れて直通運転でもすれば300キロ運転も考えるのでしょうけど、現実にそこまでやるメリットは無いと判断した様です。そうなるとウィーン~ザルツブルク間が1時間半で結ばれるとは言え、メリットよりはデメリットの方が多いと言う事なのでしょうか?とは言え、飛行時間の僅かな航空機よりは高速道路の方がライバルと考えると、230キロでも十分勝負になると判断したと思うのですが・・・

Posted by: | November 10, 2020 14:48

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