2020年、ÖAMTC救急ヘリは17281ミッションを実施

例年は「Wiener Eistraum」の本格設営前に撤去されるのですが、今シーズンは前倒しで「Wiener Eistraum」の設営が行われた関係で、例年のような撤去方法ができません。
そこでリンクを痛めないように、予め枝などを切り落とした上で、クレーンでつり上げる方法が採用されました。という訳で、例年よりも壮大な撤去作業になったと報じられています。
年が明けてから、各機関が2020年の振り返りを行うようになりました。日本と異なり、会計年度も年単位なので、このような動きが活発な訳です。
今日は、その中から、ÖAMTCが運航する救急ヘリの活動をご紹介しましょう。ちなみにÖAMTCでは、昨年を「Corona-Jahr 2020」と表現しています。
ÖAMTCが運航する救急ヘリ(ÖAMTC-Flugrettung)ですが、日本のドクターヘリとは若干、性格が異なっています。
日本のドクターヘリは、基地が病院にあり、出動要請が入ると、フライトドクターとフライトナースが搭乗して、現場到着後、即、治療を開始します。その後、基地病院へ搬送するというシステムです。
また、ヘリコプターが着陸できないような場所で、要救助者を助けるようなミッションは、防災ヘリや自衛隊の救難部隊(災害派遣)が担当しています。
一方、オーストリアの自動車連盟ÖAMTCが運航する救急ヘリには、高度な救命・緊急医療処置が可能なパラメディック(航空救難医)と高級救難士が乗務しており、ヘリコプターが着陸できない場所では、上空でホバリングしながら、ホイストを使って要救助者を助け上げるミッションも行っています。
クルーは原則として3名体制で、パイロットはÖAMTCの所属ですが、医療スタッフは赤十字や山岳救助隊などから派遣されています。
まず、2020年は17281ミッションを実施しましたが、パンデミックの影響で、2019年に比べ、8.7%減少しています。一日当たり47ミッションを行っている計算です。
ÖAMTC救急ヘリ部門の責任者Reinhard Kraxner氏によると、規制が緩和されていた7月から9月中旬までの出動回数は2019年よりも10%ほど多かったそうです。
また、2020年5月末には、Obersteiermark(St. Michael)の新しい基地(Christophorus 17)が運用を開始しています(左の写真)。
ミッションの内容ですが、心臓発作と脳卒中は最も頻度が高く、全体の45%を占めています。こちらの方は、食生活の関係からか、心臓発作が多いのです。
また、レジャー、職場、学校、家庭で発生した事故が17%、交通事故が7%となっています。このブログでもお伝えしたことがありますが、オーストリアでは、街中にも平気で着陸して、要救助者を収容します。
ヘリコプターが着陸できない場所で、ホイストを使い救助した要救助者が666名でした。これはアルプスを擁するオーストリアの場合、山岳救助が多いことも影響していると思います。
救急ヘリは原則として日の出から日没までミッションを行いますが、一部の基地(Christophorus2とChristophorus17)では夜間のミッションにも対応しています。2020年、夜間のミッションは582回でした。
州ごとでは、Niederösterreich州が3676回で最も多く、続いてSteiermark州(2858回)、Tirol州(2522回)、Oberösterreich州(2446回)と続きます。
基地ごとに見ると、WienのChristophorus 9が1443回(2019年は1724回)で最も多く、次いでSubenのChristophorus Europa 3(1408回)、GneixendorfのChristophorus 2(1381回)となっています。
ÖAMTCの救急ヘリ部門は、1983年に発足したもので、機材は日本でもドクターヘリで使用されているエアバス・ヘリコプターズのEC 135 とH135を運用しています。
オーストリアは日本の北海道と、ほぼ同じ面積ですが、ÖAMTCは現在、20箇所の基地を設置しており、迅速な対応ができるようになっています。
なお、ÖAMTCでは、現状に満足することなく、乗務員の育成や機材の増備(複数機の運用)も含めて救急ヘリ部門の強化を進めています。
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