June 30, 2020

東京消防庁にローゼンバウアーのはしご車が登場

20200629072020年の半分にあたる「6月を締めくくるの話題」は、我がオーストリアが世界に誇る「工業製品の話題」です。

オーストリアというのは、興味深い国で、我が国では一般的な乗用車や家電製品といった工業製品を自国企業が生産していませんが、特殊な工業製品に特化した企業が存在し、ニッチ故に世界的に高いシェアを誇っています。

「何でも自国の企業が生産する」という考え方もありますが、「ある分野に特化する」という「選択と集中」も小さい国にとっては、立派な戦略だと思います。

このブログでも何回かお伝えしていますが、その代表は「消防車界の最高峰」と称される製品を世界各国に輸出しているRosenbauer International AG.(ローゼンバウアー社)でしょう。

同社は1886年にオーストリア初の消防機材製造会社としてリンツに設立されました。以降、145年以上にわたり、防火・防災に対する消防技術の第一人者として高い評価を受けています。

2020062906ちなみに社名は、同社の創業者のお名前です(Johann Rosenbauer 、1828年~1894年)。ということは、TOYOTAやHONDAと同じですね。現在、本社はリンツに近いオーバーエスターライヒ州Leondingにあります。

ローゼンバウアーは消防車をはじめ、消火システム、装備品など、消防に関するあらゆる製品を製造、販売しており、世界中の消防機関からの高い信頼を得ています。

現在では、そのサービスや事業ネットワークは全世界100ヶ国以上に広がりっています。

2020062904同社の製品で、最も有名なのは空港用化学消防車PANTHER(パンター)。空港用化学消防車は、消防車の中でもニッチな市場。それだけに世界各国の国際空港を中心に、1350台以上が配備されています。

日本は、独自の基準があるため、海外からの参入が難しいと言われますが、同社は1994年、日本市場に1991年に製造が開始されたパンターで参入を果たしています。パンターは、近未来的なデザインで、非常に目立ちます。

2020062901現在、東京国際空港(羽田)、成田国際空港、関西国際空港をはじめとする民間空港や自衛隊航空基地にパンターが配備されています。

まぁ、あまり活躍してもらいたくない車種ですが、万が一の時には被害拡大を防ぐ、大きな戦力になることでしょう。

ちなみに左のパンターは東京国際空港(羽田)で見かけたものです。

2020062902ところで、今までは空港用化学消防車パンターが中心でしたが、2020年3月、何と東京消防庁がパンターのはしご車(車体はMercedes-Benz Econic)を導入したのです(平成31年度予算で発注したようです)。

今回、導入されたのは「30m級車いす対応のはしご車」で、全長10.41m、全幅2.49m、全高3.14m、総重量15850kgというスペックです。救助用バスケットには、車いす対応のピクトグラムが張られています。

車体がメルセデスなので、そちらの方が目立ちますが、バスケットにはRosenbauerのロゴもしっかり入っており、存在感を示しています。

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June 25, 2020

ウィーン市の太陽光発電プラント拡大プロジェクト

2020062313日本でも東日本大震災後、再生可能エネルギーとして太陽光発電が注目され、電力買い取り制度も本格的にスタートしましたね。

ただ、郊外や地方に建設された小規模な発電施設に関しては、逆に新しい災害を引き起こすケースもあり、やはり何らかの規制が必要だと思います。

さて、CO2排出削減に積極的な(というか前のめりな)ウィーン。先日もWiener LinienのOttakring駅屋根に太陽光パネルを設置したように、現在、積極的に市内に太陽光発電プラントの建設を進めています。これは、昨今の気候変動も大きく影響しているように思います。

ウィーン市では市内の各機関と機構保護協定を締結し、市の関連施設屋上に太陽光発電プラントの増設を進めています。都市部で屋上を活用するのであれば、太陽光プラントが環境に悪い影響を与えることは少ないでしょう。

2020062311今回、完成したWien-Landstraßeにある Rettungsstation Arsenal(救急車・ドクターカー基地、レスキューステーション)の太陽光発電プラントの概要は、以下のとおりです。
-太陽光発電モジュール:116
-年間発電量:30300kWh (16世帯分の電力需要に相当)
-年間CO2削減量:11トン

なお、この太陽光発電プラントによりRettungsstation Arsenalで必要な電量の1/3をカバーすることができます。

以前、このブログでもお伝えしたようにウィーン市内に電量などを供給するWien Energieは、オーストリア最大の太陽光発電会社です。

2020062314ウィーン市とWien Energieでは、2022年末までにウィーン市が管轄する老人ホーム、病院、スポーツ施設、レスキューステーションなどの施設に太陽光発電プラントを設置する予定で、最大8メガワットの電力を供給できると踏んでいます。

将来的には、全ての公共施設に太陽光発電プラントを設置する計画です。

ウィーン市では、CO2排出量削減に向けて、電力、暖房、輸送、廃棄物処理などの各分野で「50の施策」を展開中ですが、その中核を太陽光発電と位置づけています。

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June 22, 2020

祝Koralmtunnelが貫通

2020062001 鉄道関連の話題が続いて申し訳ありませんが、今日は「ÖBBが進めている大規模プロジェクト」という「まじめなの話題」です。

2020年6月17日、シュタイヤマルク州とケルンテン州を結ぶ新しい幹線の要とも言えるKoralmtunnel(北トンネル)が貫通しました。まず、最初にKoralmtunnelを含むKoralmbahn(コラムル線)のおさらいから‥

航空輸送から鉄道への転換を積極的に進める方針を打ち出している連邦政府が期待を寄せているプロジェクトが「鉄道の高速化」です。特にオーストリアの場合、峠がネックになり、距離の割に所要時間がかかるケースがあります。

一般的にはウィーンとグラーツを結ぶ南路線の要セメリング線(セメリングベーストンネル)に注目が集まりますが、実はグラーツとクラーゲンフルトを結ぶKoralmbahn(コラムル線、127km)の建設を忘れてはなりません。

グラーツとクラーゲンフルトは、現在、Bruck an der Mur、Leoben経由となるため、RailJetでは乗り換えが必要。所要時間も2時間54分もかかります。

2020062006そのため、ÖBBではIC Busという乗り換え不要の高速バスを同区間に運行しており、こちらの所要時間は2時間です。

ウィーンからクラーゲンフルトまでの所要時間も、現在は、RailJetで3時間55分ほどかかります。

そこで、ÖBBは、シュタイヤマルク州とケルンテン州の両州都ダイレクトに結ぶ新路線Koralmbahn(コラムル線)の建設を2001年から開始しました。

2020062003ルートはグラーツから南下し、ルートはグラーツから南下し、KORALPE(Kor Alps)を長大トンネルで抜け、グラーツとクラーゲンフルト結ぶものです。

途中12の駅が予定されていますが、このプロジェクトの中心となるのがコラムルトンネル(Koralmtunnel)。延長約32.9kmで、完成するとオーストリアで最長の鉄道トンネルとなります。

20200621031コラムルトンネルは単線並列(北トンネルと南トンネル)で2008年から掘削が始まりました。そして、南側ルートは2018年8月14日に貫通。北側ルートが2020年6月17日に貫通しました。

ちなみに最も深いところは、山頂から1200メートル下を掘っています。

トンネル経は3.95メートルで、北トンネルと南トンネルは40メートル離れて建設されており、両トンネルは概略図のように500メートル毎に連絡トンネルで結ばれており、非常時には移動できるようになっています。

2020062004このほか、トンネル中央部には、非常停車エリアが設けられています。そのため、非常停車エリアのある部分だけは、両トンネルの間が50メートルになっているそうです。

トンネルには換気およびメンテナンス用の縦坑が数箇所設けられており、非常時には縦坑を使って、外部へ脱出することも可能です。

2020062007オーストリア得意のトンネルボーリングマシン(Mauli 1、Mauli 2と命名されています)を使ったシールド工法で工事が行われていました。大規模な工事なので、建設現場付近にシールドを作る工場も建設しています。

余談になりますが、青函トンネルが、このような単線並列で建設されていたら、現在、問題になっている新幹線の高速運転も容易に実現できたと思うだけに、残念です。

今回のコムラルトンネル貫通により、同線建設工事の山場は超えたことになります。今後、仕上げを含む関連する工事が進められますが、稼働開始は2025年12月に予定されています。

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June 10, 2020

大胆な空陸転換プロジェクトを発動

2020060911今日は「公共交通の話題」をお届けしましょう。新型コロナウイルスの直撃を受けたのは各国の航空会社。もちろん、インバウンド需要が経済の中心となっているオーストリアの場合、ホテルをはじめとする観光関連産業の打撃は計り知れないものがあります。

このブログでもお伝えしているように、現在、ルフトハンザ航空の傘下に入っているオーストリア航空は6月15日から運行を再開します。日本が大規模減便でとどまっているのに対し、オーストリアは全便欠航となっていました。

何しろオーストリア航空やスイス航空を傘下に収めたスターアライアンスの雄、ルフトハンザ航空ですら、政府援助がないと倒産の瀬戸際に立たされた訳ですから、大変な事態になっていることがよくわかります。

2020060913民営化したとは言え、ナショナルフラッグキャリアのオーストリア航空はオーストリア連邦政府から4億5000万Euroの財政支援を受けて、経営を継続することになりましたが、逆に、この機に乗じて連邦政府が経営に口を挟むようになりました。

まぁ、「金だけ出すから、後はご自由に‥」とはいきませんよね。特にルフトハンザの傘下に入ってからは、同社の意向が強く働いていましたので‥ 

実際、政府はオーストリア航空に役員2名を派遣しています。なお、万が一、同社が融資された資金を返済できず、デフォルトした場合は、国有化されることになっています。

2020060912日本以上に環境保全に熱心なオーストリアでは、オーストリア航空運行再開に当たって、連邦政府が色々と注文を付けました。

Sebastian Kurz首相はオーストリア航空支援に際して、「大量の雇用維持、ウィーンのハブ保証、環境対策」の三つを条件を出しています。

LCCとの熾烈な競争を繰り広げる過程で、過度な価格競争に巻き込まれるのを防ぐため、アンチダンピング法が施行されるも模様です。

これが施行されると全ての航空会社の最低運賃は将来的に40Euro(税金をはじめ全て込みの料金)に抑えられます。これは経営を安定させるための政策。

2020060914そして、利用者にとって気になるのは、「環境対策」として創設される航空環境税です。

これは短距離路線の航空旅客を鉄道に移すための政策で、350km以下の路線で一律30Euroの税金が課せられる予定です。なお、先ほどご紹介した最低運賃は航空環境税を含んだ金額です。

この航空環境税は、日本の目的税に近く、国土緑化(温暖化防止)の原資になるようです。

ただ、これだけでは不十分。そこで連邦政府は、鉄道で3時間未満のオーストリア航空の路線廃止を打ち出しました。この結果、ウィーン(VIE)-ザルツブルク(SZG)間の国内線は事実上、廃止されることになりました。

2020060915ウィーン-グラーツ間に関しては、途中、セメリング峠があるため、現時点ではReilJetでも2時間40分ほどかかっています。

一応、3時間は切っていますが、即、航空路線廃止となならないようです。ただし、セメリングベーストンネルが完成するとウィーン-グラーツ間は1時間50分に短縮されるため、このタイミングで、ウィーン-クラーゲンフルト間も含めて航空路線が廃止される模様です。

このように考えるとオーストリア国内で航空路線が残るのはウィーン(VIE)-インスブルック(INN)間くらいになるかもしれません。

ただ、オーストリア航空の国内線撤退については、経済界から反対意見が多く出ています。特にザルツブルク、シュタイヤマルク、ケルンテンなどからは、経済への影響を懸念する声が上がっています。確かに航空便では、所要時間が1時間程度ですからね。

日本人の感覚からすると、ハブ空港のウィーンに到着してオーストリアの主要都市に鉄道で移動するのは面倒‥と考えてしまいますが、ご存じのようにウィーン国際空港の地下にはÖBBの駅があります。

ここからRailJetに乗り換えれば、便数の少ない航空便への乗り継ぎ時間を考慮すれば、鉄道のデメリットは少なくなります。

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June 03, 2020

ペットボトルの回収率問題

2020060205日本では7月1日からレジ袋の完全有料化が始まるようですが、環境保護に熱心な(神経質な)ヨーロッパで話題になっている「ペットボトル回収率の話題」をお届けしましょう。

日本ではソフトドリンクの多くはペットボトル化されていますが、ヨーロッパではミネラルウォーターに関しては、最近まで瓶入りが一般的でした。

当然、デポジット方式で、スーパーマーケットなどに返却するとデポジット料金分がクーポンとして返却される仕組みです。

2020060206オーストリアの場合、水道水は「アルプスの天然水」なので品質は良いのですが、はやりミネラルウォーターを大量に消費する習慣があるため、現在では1.5リットルのペットボトルが主流になっています。

何しろ1リットルの瓶入りの方が、1.5リットルのペットボトル入りより重い訳ですから運搬を考えると、やむを得ないかもしれません。

ペットボトルの回収については、このブログで「ゴミ問題」の一環としてご紹介しているように、専用の回収ステーションに共用ゴミ箱が設置されています。

2020060201今までは、ペットボトルと缶は別だったのですが、回収コスト軽減の観点から、2019年9月からペットボトルと缶のゴミ箱は共用化されました(詳しくは2019年10月の記事をご覧ください)。

さて、先日、新聞にペットボトル回収率に関するニュースが掲載されていました。ご存じのようにEUの強化によって、様々なレギュレーションが賭けられています。

ペットボトル回収率にもEUのシバリがあります。EUのプラスチック廃棄物対策令では、2029年までに流通量の90%を回収することが義務づけられているそうです。

ところが、現在、オーストリアの回収率は70%ほど。また、20%足りません。そこで、新しい対策が検討されるようになりました。

現在、最有力の対策が瓶のようなデポジット制度導入です。現在、オーストリアでは一定規模のスーパーマーケットなどには瓶回収機が設置されており、お客さまが使用済みのデポジット対象の瓶を持ち込むと自動的に処理されます。

ちなみにデポジット対象外の瓶ははじかれます。このあたり、しっかりできています。プラスチックケース入りの空き瓶は、下から入れます。

2020060204ある研究機関の試算では、回収率90%を達成するためには、デポジット料金は、容器の大きさに関係なく0.30Euro(現在のレートだと50円強)均一が妥当であるという結論を導き出しました。

ちなみにミネラルウォーターのお値段ですが、銘柄によって異なりますが、Feriがよく買っているWaldquelle Spritzig(1.5リットル)は0.55Euroです。

仮に0.30Euroのデポジット料金が乗ると0.85Euroになりますから、確かに回収率は上がりそうな気がします。

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May 26, 2020

番外編 懐かしのDB/DR共存時代

2020052611レストランやカフェが営業を再開して1週間が経過しましたが、オーストリアらしいニュースがありました。

24日の深夜、警察官が市内をパトロール中、某レストランのシャニガルテンでワインを傾けているご夫婦を発見。現時点では、営業は23時までなので、いわゆる「門限破り」です。

警察官が件のご夫婦に職務質問したところ、そのカップルは、何とビックリ連邦大統領Alexander Van der Bellen(アレクサンダー・ファン・デア・ベレン)ご夫妻。

万が一、この時間もレストランが営業していた場合、レストランには最大30000Euroの罰金が科せられます。が、この時、レストランは既に閉店しており、ご夫婦だけが、シャニガルテンでおしゃべりに興じていた‥ということだったようです。

ただし、閉店後とは言え、店舗の施設を利用させていたため、レストラン側の責任を問う声もあるようです。

Feriの疑問、オーストリア連邦大統領にはSPは付かないのでしょうかね。通常、SPが同伴していれば、何らかの形で大統領ご夫妻に注意していたと思うのですが‥なお、夜間外出禁止令が出ている訳ではないので、ご本人には罰則は適用されません。

さすがオペレッタ国家です。もちろん、Alexander Van der Bellen大統領は軽率だったと謝罪しています。

2020052501さて、今日は番外編として「ドイツの鉄道にまつわる話題」をお届けしましょう。

先日、ステイホームを実践中の友人から、興味深い写真が送られてきました。ステイホーム中、自宅を整理している時に出てきたという「ドイツ鉄道の公式カレンダー」の写真です。

このカレンダーですが、今から見ると、非常に珍しいもの。カレンダーですが、1993年版。ということは、発行は1992年ということになります。

表紙には「Unternehmen Zukunft Die Deutschen Bahnen」と書かれており、その右側にはDR(Deutsche Reichsbahn、正式にはドイツ帝国鉄道となりますが、通常はドイツ国鉄)とDB(Deutsche Bundesbahn、ドイツ連邦鉄道)のロゴマークが印刷されています。

ここで、ドイツ、再統一の歴史を振り返ってみましょう。

20200525031989年11月9日、「ベルリンの壁」が崩壊し、12月には東ドイツ憲法からドイツ社会主義統一党による国家の指導を定めた条項が削除され、一党独裁制が終焉を迎えます。

右の写真は1979年、ドイツ民主共和国( Deutsche Demokratische Republik;、DDR)時台のライプツィヒ中央駅です。重厚な駅舎が印象的ですが、自動車がほとんど通っていません。

翌1980年3月、東ドイツで自由選挙が実施され、ドイツ再統一を主張する保守連合「ドイツ連合」が勝利。これを契機に東西ドイツ再統一に向けた動きが加速します。

20200525085月には西ドイツと、通貨・経済・社会同盟の創設に関する国家条約が調印され、7月には東ドイツに西ドイツの通貨であるドイツマルクが導入されました。 ちなみに、それまで東ドイツの通過はマルクでした。

そして、同年、8月31日、ドイツ再統一条約が調印され、10月には西ドイツ基本法に基づいて、東ドイツの州が西ドイツに編入されました。

2020052504一方、鉄道ですが、東西が別れていたときの「国鉄」ですが、西側はドイツ連邦鉄道(Deutsche Bundesbahn、DB)、東側はドイツ帝国鉄道(Deutsche Reichsbahn、DR)となっていました。

共産圏の国が、戦前のDeutsche Reichsbahnを引き継いだのは、何とも皮肉な出来事ですが、これは当時、東ドイツが「我が国こそ、正統な後継者である」ことを内外に示すために、あえてこの名称にこだわったと言われています。

最も直訳すると「帝国鉄道」ですが、実質はドイツ国有鉄道というニュアンスでしたが‥

さて、両国の「国鉄」は、戦後復興期に大きな違いを見せます。DBが、アメリカをはじめとする西側諸国の資金的な援助を得て、急速な復旧、近代化を行い、驚異的な成長を実現します。

2020052505それに対して、ベルリンを中心として戦争による被害が甚大だったDRの戦後復興は、困難を極めました。更に占領していたソビエト連邦は、政府(DR)に対して戦後賠償の一環として、鉄道車両や設備を接収します。

電気鉄道設備(電気機関車や変電設備など)を接収するため、ソビエト側は、何と電化復旧を中止し、非電化の状態で復旧するようにDR(実質的には東ドイツ政府)に要求したのです。

2020052510接収された戦前の電気機関車などは、ソビエトの寒冷地で電化のテストに使われましたが、テスト終了後、DRに返却されています。

しかし、酷使がたたってボロボロになっており、とても、そのままでは使い物にならなかったとか‥ソビエトに抑留された電気機関車に関しては、興味深い後日談が多数ありますが、今回、ご紹介は控えておきます。

DRで、戦前は電化してあった幹線が、戦後、非電化になった背景には、このようなソビエト側の「強い圧力」があった訳です。

2020052507ちなみに3枚目と4枚目はDR時代のものですが、この区間は戦前、電化されていました。また、現在は電化されているという話です。

さて、国が再統一されたので、当然、公共交通機関の要となる鉄道の統一も進められます。

戦前は同じ車両が使われていましたが、45年の間に、両鉄道は独自の進化を遂げ、結果として、「全く別の鉄道」に‥皮肉なことに、戦前の蒸気機関車などだけが、唯一、共通の資産でした。

特にDRでは、ソビエト連邦主導の計画経済により、車輌製造も独自に行うことが許されず、東側各国で分担して製造するのが一般的でした。

そのため、ドイツらしからぬデザインの機関車や客車も活躍していました。

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May 25, 2020

CityBikeが存続の危機に?

2020052201今日は「CityBikeの話題」をお届けしましょう。

新型コロナウイルス感染拡大にともなって自転車の利用が増えていますが、稼働開始15年以上が経過したCityBikeは、今では公共交通機関の一部として、ウィーンでは欠かせない存在になっています。

ところが、最近、「CityBikeが存続の危機に直面している」という報道がありました。

このブログでもお伝えしましたが、一時期、どこでも乗り捨てOKをウリにしたアジア系のレンタルバイクが市場を席巻しました。しかし、自転車の管理がずさんであることから問題が多発し、結果的に全て撤退してしまいました。

2020052202結果として、CityBikeは、現在、ウィーンで公共交通機関として残っている唯一のレンタルバイクになりました。

CityBikeが残った最大の要因は、市内、各所に設けられたステーションから借りて、ステーションに返却するシステムであるため、自転車の管理がしっかりできていることです。

現在、市内には121のステーションがあり、1500台の自転車が配置されています。ロックダウンで、需要が減少したとは言え、Feriは、「CityBikeが存続の危機」というニュースに接して、正直、驚きました。

存続の危機が浮上した理由は、運営資金の問題です。利用者にはわかりませんが、実はステーションの運営については、旧市内を中心とした最初に設置された61箇所はGewista社が担当しています(残りのステーションはウィーン市の資金で運営されています)。

2020052204現在、ウィーン市はGewista社に対して、運営費として年間86万Euroを支払っていますが、同社は110万Euroを要求。何故、運営費の上積みを要求しているかというと、「CityBikeが儲からない」ため。

現在のシステムでは、利用者が1時間以上利用すれば使用料が発生しますが、95%の利用者は1時間以内。そのため、登録料(1Euro)しか収入が得られません。

Gewista社としては、同社が管理しているステーションから撤退を考えているようですが、仮に同社のステーションがなくなると、ステーション間の距離が長くなってしまい、CityBikeの魅力が半減してしまいます。

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May 23, 2020

驚愕の「1-2-3-Ticket」プロジェクト

20200522001今日はオーストリア連邦政府が推進する「1-2-3-Ticketプロジェクトの話題」です。オーストリアでは、公共交通機関の利用を促進するために様々なプロジェクトが推進されています。

その代表がWiener Linienが発行している365Euroの年間パス。今回、連邦政府のLeonore Gewessler環境・運輸大臣(緑の党)が驚愕のプランを週刊誌のインタビューで公表しました。これが2021年の導入予定で準備を進めている「1-2-3-Ticket」。

「1-2-3-Ticket」は1日1Euroで1つの州、2Euroで2つの州、3Euroでオーストリア全土の公共交通機関が利用できるというもの。目的は、温室効果ガス削減を推進です。

20200522002このプロジェクトの原案は2008年、現在の政権与党であるオーストリア国民党(ÖVP)が選挙公約として打ち出したものです。

現在のレートだと500円でオーストリア全土が1日、乗り放題。これはビックリ仰天のプロジェクトです。もちろん、1回券ではコストがペイしませんから、年間パスの形で提供されることになります。

この場合、オーストリア全土乗り放題パスは1095Euroということになります(1-2-3は日割り計算ですね)。

現在、ÖBBが発行している全国パス「Österreichcard」の価格は1889Euro。ただし、このチケットでは都市交通には乗車できません。これよりも安いのですから、オトクです。

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May 12, 2020

ルーマニアから介護士を乗せた特別列車が到着

20200511115月11日の朝8時、ルーマニアからオーストリアの介護施設で働く介護士を乗せた特別列車がウィーン国際空港に到着しました。特別列車の定員は350名でしたが、今回、乗車していたのは80名。

ウィーンの到着地にウィーン国際空港が選ばれたのは、現在、空港利用者が激減していること(他のお客さまとの接触を抑えられる)、空港ではPCR検査を含む健康診断が隣接するホテルで可能であることなどが理由だと思われます。

リーダーによると、ルーマニアの介護士は出発前、すでに広範囲の健康診断を受けています。さらに車内では、ソーシャルディスタンスを確保していたそうです。

ウィーン国際空港到着後、オーストリア当局により介護士はPCR検査を含む健康診断を受け、結果が判明した後、陰性だった介護士は施設などへ派遣され、24時間体制で利用者の介護に当たることになっています。

2020051112オーストリアとルーマニアの間では、介護士の派遣(出稼ぎ)再開は、比較的スムーズに進んだようですが、問題は通過国であるハンガリーの了解を取り付けること。

このため、時間がかかったようです。当然、ハンガリー領内はノンストップでの運行でした(恐らく、機関車や乗務員の交代などがあるので、運転停車はしていたと思いますが‥)。

ルーマニアから来た介護士は、ウィーン、ニーダーエスターライヒ州、ブルゲンラント州などで勤務することになっています。ちなみにオーストリアでは、3万人以上の方が、ルーマニアから来た介護士の世話になっているそうです。

今回、オーストリアに来た介護士は、いずれも就労ビザを取得しており、その点では問題はありません。なお、現在、オーストリアでは新たな就労ビザ発給は停止しているため、既に就労ビザを所持している介護士が対象になっているようです。

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May 05, 2020

オーストリア ロックダウン50日の記録

2020050403日本も、今まで経験したことのない「ゴールデンウィーク」になっていると思いますが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。

KURIER紙が新型コロナウイルス対策がフェーズ2へ移行したのを受けて、ロックダウン50日の記録をまとめています。同紙では“歴史に残る50日間”という表現を使っています。

日本では、政府の対策が後手後手と批判されるケースが多いですが、これを見ると、オーストリアでも、その場の状況に合わせて逐次、対策を追加してきたことがよくわかります。

これは、今までに経験したことのない事態であるため、試行錯誤の連絡であったことを伺わせます。

ただ、日本と異なるのは、今後、事態が収束した段階で批判が出ると思われる「法令に基づく強制力を持った対策」を矢継ぎ早に打ち出した点でしょうか。

○第1週目 緊急事態宣言
3月15日、連邦政府が突如、緊急事態を宣言し、当日の劇場の公演中止をはじめ、翌16日からレストランやカフェ、一般商業施設、ふっとネスクラブ、美術館・博物館、大学などが一斉に閉鎖。

あるカフェでは、ウエイターが客さまに急な営業停止命令で廃棄することになった果物を無料で配布したエピソードが紹介されています。

そして、外出制限と出国制限が実施されました。当然、失業者が急増し、連邦政府も支援策を打ち出しますが、決して、十分ではありませんでした。

2020050404○第2週目 財政支援発動
EU拡大にともなって、加盟国は財政規律が強く求められるようになりました。しかし、この緊急事態に対応するため、連邦政府は赤字国債発行を決断します。

Sebastian Kurz首相は380億Euroの支援パッケージを発表。Gernot Blümel財務相は、3月20日、“私の世代がこれまでに経験した中で最大の危機を克服することについて”いう演説を行っています。

対策は、民間銀行による無利息融資、企業に対する給付金支給、短時間非正規労働者への支援、個人事業主や降りランサーに対する給付金支給などが支援策の柱です。

○第3週目 マスクのある生活
欧米では、特別な場合を除き、マスクなどで顔を隠すという習慣はありません。

さらにオーストリアでは、テロ対策の一環として顔を隠すマスクの着用は法令で禁止されていました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大は「この常識」を覆しました。

4月6日、スーパーマーケット利用者はマスク着用が義務づけられました。当たり前ですが、マスクをする習慣がないため、自宅にマスクをストックしている人は、いません。そこで、大手スーパーマーケットチェーンでは、来店したお客さまにマスクの無料配布を実施。

しかし、その後、お客さまが自分で準備することになりました。マスクの値段ですが、当初、3枚で3Euro程度でした。スーパーマーケットでは10枚7Euro、50枚38Euroなどで、販売されるようになりました。

しかし、日本でも問題になったように、使い捨て方式の場合、すぐにストックがなくあんります。それを受けて、マスクを自作する作る取り組みが国家的な規模で始まりました。

新聞やインターネットには、布製マスク製造方法が紹介され、企業や個人がマスクを作り始めます。中には、救急隊員用のマスクを自作して、寄付する人も出てきました。

4月14日から、マスク着用の範囲が広がります。公共交通機関や自動車(同一世帯で生計を営む人を除く)利用時にもマスク着用が義務づけられました。

5月中旬に学校が再開されますが、授業中以外は、通学時も含めてマスク着用が義務づけられるようです。

2020050401○第4週目 「旅行の自由」との別れ
バカンスが好きなオーストリア人にとって、マスク着用とともに、衝撃的だったのは「旅行の自由制限」です。

Elisabeth Köstinger観光相は、記者会見で“私たちは、旅行の自由に対する大規模な制限に備える必要があります”と述べました。つまり鎖国状態が解除される見込みが立たない‥という訳です。

今夏、EU内を含めて海外へのバカンスは絶望的です。連邦政府は、オーストリア国内での休暇を求めています。

ヨーロッパの空域で4月初め、フライトをしていた航空便は通常よりも90%減少しています。外務省は海外渡航中止勧告のエリアをさらに拡大しました。

オーストリアはインバウンド需要で経済が回っている国でもあります。特に夏はオペレッタ「白馬亭にて」ではありませんが、ドイツからのバカンス客が増えます。今まで、夏のバカンス客の70%がドイツ人だったという分析結果もあります。

しかし、ドイツは隣国との国境を閉鎖したままです。そのため、今夏、オーストリアでは、ドイツ人バカンス客は皆無になると予想する専門家もいます。

○第5週目 一部店舗の営業再開
オーストリアの皆さんは、日曜大工がお好きです。日曜大工と言っても、日本以上に本格的。何しろ自宅を建ててしまう人がいるくらいですから‥

そのため、塗装を含む部屋の模様替えなどはお手のもの。そのため、スーパーマーケットとともに必須なお店が、大規模なDIY店。日本流に言えばホームセンターですね。

2020050407それを裏付けるように4月中旬、イースター明けにDIY店の営業が再開された時、各店舗には多くのオーストリア人が買い出しに来店し、長蛇の列が‥つまり外出制限で自宅にいる時間が長いため、これを使って自宅のリフォームや修繕をしようと考えたのでしょう。

ただ、入店制限があるため、マスクをしたお客さまが、店外でソーシャルディスタンスを確保して、並んでいました。

また、マスクを自作するための材料を買い求めて、営業を再開した手芸用品店の前にも行列ができました。

この他、ウィーンでは、営業禁止の関係で売り上げが激減した小規模スーパーマーケットや個人商店が、日曜日営業に踏み切ったケースが報告されています。

ご存じのように、オーストリアでは日曜・祝日の食料品店営業は特別許可がない限り、禁止されています。4月26日には、ウィーン市当局が日曜営業を行っている食料品店に対して査察を実施(右の写真が査察の模様)。問題がある場合は、即刻、営業が禁止されました。

厳しいようですが、ルール違反を放置すると、追随する店舗が出てくるので、それを防止するための対策です。

2020050405連邦政府とウィーン市が管轄する公園も、入場制限はありますが、再開されました。ロックダウン一部解除後、幸いなことに、今のところ感染者の急増はみられません。ただし、道路の通行量は格段に増えました。

○第6週目 学校再開に向けて
オーストリアでは、3月16日、全国の学校5500校が閉鎖され、110万人の生徒・学生、30万人の幼稚園児が自宅待機となりました。

突然の発表だったため、当然、混乱は起こりましたが、連邦政府は家庭での教育と遠隔授業の利用を推奨しました。

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