July 05, 2020

X-Wagen試作車落成

2020070401今日の話題は「Wiener Linien最新の地下鉄車両X-Wagen落成」です。

7月3日、ウィーンのシーメンスモビリティ・Simmering工場でWiener Linien向けの新型地下鉄車両X-Wagen(Type X)試作車お完成披露が行われました。

都市の環境保全に向けてCO2排出削減に力を入れているウィーンは、地下鉄や路面電車をはじめとする公共交通機関の充実に力を入れています。

このブログでも何回かお伝えしているようにX-Wagenは現在、建設が進められているU5での使用を前提とした次世代の地下鉄車両です。

2020070402現在、活躍している2両1ユニット仕様のType U11の置き換えも視野に入れて開発されたもので、最大の特徴はWiener Linienでは初めての全自動運転システムを搭載していることです。

現在、主流となっているType Vと同じく6両固定編成(編成長111メートル)、旅客定員928名です。定員に関してはType Vより46名多くなっています。

今回、公表された写真を見ると、車体前面はJR東日本の新型電車E235系を彷彿させます。ただ、E235系と異なり、車体下部が絞られていないフラットな構造ですが‥

車内に関しては、Type Vに近い構造、色使いになっていることがわかります。ただ、車いすやベビーカーを使っているお客さまに対応するため、座席配置が変更されています。

また、Type Vは最前部の扉にだけ可動式スロープが取り付けられていましたが、X-Wagenではすべての扉に設置されています。

2020070403車いす用スペースも車端部から中央部に移り、利便性が向上しています。なお、扉は密閉性が高いプラグインドアが引き続き採用されています。
エアコンが装備されているため、側窓は固定式ですが、一部については換気のため、上部が内側(客室側)に開くようになっています。

座席は、日本と異なり合板製です。モケット張りとしていないのは、イタズラによる破損を防止することが目的です。クロスシートが基本ですが、今回はロングシートや折りたたみシートも設置されています。

優先席は青色で、明確に区別されています。公表された現車の写真を見ると優先席がある扉の外側上には青いラインが入っています。

各列ドアの上にはデジタル情報ディスプレイが設置されており、列車の位置に応じた経路や接続情報が表示されます。

Feriが注目したのは運転室。実車の写真を見ると、日本のように運転台に制御装置は設置されておらず、表示器とボタンだけ。実は制御装置は運転士の椅子に、ジョイスティックが設置されています。

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June 27, 2020

S BahnのFloridsdorf-Praterstern間が2週間工事で運休します

2020062201今日はウィーンの「S Bahnの話題」をお届けします。最近、公共交通機関の利用促進を受けて、ÖBBが運行するS Bahnも運転間隔が短くなっています。

特に利用者が多いFloridsdorf-Meidling間は、S1、S2、S3、S7が運行されているため、ウィーン地下鉄に匹敵する平均3~5分間隔で運転されています。

ÖBBでは、このような列車増発に対応するため、夏休み明けにリニューアルとメンテナンスを実施することになりました。

2020062202この工事のためFloridsdorf-Praterstern間が、7月5日(日曜日)午前2時30分から7月18日(土曜日)午前3時まで、約2週間にわたって全面的に運休されることになりました。

今回、工事の中心となるのはDonaubrückeの改修(構造材の一部交換、防錆など)です。

Wiener Linienでは、U4のリニューアル工事などで、長期間、路線を閉鎖して工事を行うことが多いですが、ÖBBのS Bahnでは珍しいですね。

Floridsdorf-Praterstern間が全面運休中の機関、代替えバスが運行されます。S Bahnでは自転車を載せることができますが、代替えバスでは自転車の輸送は行いません。

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June 24, 2020

NightJetの運転再開決まる

2020062302今日はÖBBが運行を行っている夜行列車の運行再開に関する話題です。

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、運休が続いていたNightJetですが、6月26日から順次、運転を再開することが発表されました。

運転が再開されるのは、以下の列車です。列車番号の後ろが運転再開日です。

-Innsbruck – Brüssel(NJ424:6月28日、NJ425:6月29日)

-Wien-Brüssel(NJ50490:6月28日、NJ50425:6月29日)

2020062304-Wien-Zürich(NJ466:6月26日、NJ467:6月29日)

-Graz – Zürich(NJ464:6月26日、NJ465:6月29日)

-Zürich – Hamburg(NJ40470:6月27日、NJ401:6月28日)

-Zürich-Berlin(NJ470:6月27日、NJ471:6月28日)

-Wien-Düsseldorf(NJ40490:6月26日、NJ40421:6月27日)

2020062301-Wien-Hamburg(NJ490:6月26日、NJ491:6月27日)

-Innsbruck-Hamburg(NJ40420:6月26日、NJ40491:6月27日)

-Innsbruck-Düsseldorf(NJ420:6月26日、NJ421:6月27日)

-Praha-Zürich(EN50466:6月28日、EN50467:6月29日)

-Wien-Venedig(NJ237:6月26日、NJ236:6月29日)

-München-Venedig(NJ40463:6月28日、NJ40236:6月27日)

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June 22, 2020

祝Koralmtunnelが貫通

2020062001 鉄道関連の話題が続いて申し訳ありませんが、今日は「ÖBBが進めている大規模プロジェクト」という「まじめなの話題」です。

2020年6月17日、シュタイヤマルク州とケルンテン州を結ぶ新しい幹線の要とも言えるKoralmtunnel(北トンネル)が貫通しました。まず、最初にKoralmtunnelを含むKoralmbahn(コラムル線)のおさらいから‥

航空輸送から鉄道への転換を積極的に進める方針を打ち出している連邦政府が期待を寄せているプロジェクトが「鉄道の高速化」です。特にオーストリアの場合、峠がネックになり、距離の割に所要時間がかかるケースがあります。

一般的にはウィーンとグラーツを結ぶ南路線の要セメリング線(セメリングベーストンネル)に注目が集まりますが、実はグラーツとクラーゲンフルトを結ぶKoralmbahn(コラムル線、127km)の建設を忘れてはなりません。

グラーツとクラーゲンフルトは、現在、Bruck an der Mur、Leoben経由となるため、RailJetでは乗り換えが必要。所要時間も2時間54分もかかります。

2020062006そのため、ÖBBではIC Busという乗り換え不要の高速バスを同区間に運行しており、こちらの所要時間は2時間です。

ウィーンからクラーゲンフルトまでの所要時間も、現在は、RailJetで3時間55分ほどかかります。

そこで、ÖBBは、シュタイヤマルク州とケルンテン州の両州都ダイレクトに結ぶ新路線Koralmbahn(コラムル線)の建設を2001年から開始しました。

2020062003ルートはグラーツから南下し、ルートはグラーツから南下し、KORALPE(Kor Alps)を長大トンネルで抜け、グラーツとクラーゲンフルト結ぶものです。

途中12の駅が予定されていますが、このプロジェクトの中心となるのがコラムルトンネル(Koralmtunnel)。延長約32.9kmで、完成するとオーストリアで最長の鉄道トンネルとなります。

20200621031コラムルトンネルは単線並列(北トンネルと南トンネル)で2008年から掘削が始まりました。そして、南側ルートは2018年8月14日に貫通。北側ルートが2020年6月17日に貫通しました。

ちなみに最も深いところは、山頂から1200メートル下を掘っています。

トンネル経は3.95メートルで、北トンネルと南トンネルは40メートル離れて建設されており、両トンネルは概略図のように500メートル毎に連絡トンネルで結ばれており、非常時には移動できるようになっています。

2020062004このほか、トンネル中央部には、非常停車エリアが設けられています。そのため、非常停車エリアのある部分だけは、両トンネルの間が50メートルになっているそうです。

トンネルには換気およびメンテナンス用の縦坑が数箇所設けられており、非常時には縦坑を使って、外部へ脱出することも可能です。

2020062007オーストリア得意のトンネルボーリングマシン(Mauli 1、Mauli 2と命名されています)を使ったシールド工法で工事が行われていました。大規模な工事なので、建設現場付近にシールドを作る工場も建設しています。

余談になりますが、青函トンネルが、このような単線並列で建設されていたら、現在、問題になっている新幹線の高速運転も容易に実現できたと思うだけに、残念です。

今回のコムラルトンネル貫通により、同線建設工事の山場は超えたことになります。今後、仕上げを含む関連する工事が進められますが、稼働開始は2025年12月に予定されています。

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June 21, 2020

Badner Bahnの車内放送

2020061701今日は「Badner Bahnの車内放送」にまつわる話題をお届けしましょう。

日本でも最近は列車内の案内放送は自動化が進んでいますが、プロのアナウンサーが担当しているケースが多いようです。また、一部では女優さんなどのタレント、声優さんなどが関わっていることも多いとか‥

さて、先日、Badner Bahnが車内放送の新しい声優さんを発表しました。

今回、起用されたのは歌手であり女優のElisabeth Engstlerさん。Wien OperおよびBaden Josefsplatzで停車中にお客さまにご挨拶をする他、次の停留所、乗換案内、出口情報、アプリや車内の券売機などでの切符購入方法などの情報を担当します。今回、従来のドイツ語に加えて、英語のアナウンスも追加されることになりました。

Elisabeth Engstlerさんは、ウィーン音楽院でオペレッタ、ミュージカル、シャンソンを学びました。1982年、オーストリアのユーロビジョン・ソング・コンテストに参加しています。その後、ORFに移り、音楽番組「Wurlitzer」、「die große Chance」、「Willkommen Österreich」、「Frisch gekocht」などで長年、司会を務めています。

2020061702最近では、Rainhard-Fendrich-Musical「I Am From Austria」にも出演しており、こちらでは有名な方。この作品は2017年、ウィーンのRaimundtheaterで初演された作品で、日本でも2019年、宝塚歌劇団が上演していると思います。

近年、Badner Bahnは環境に優しい交通機関として、通勤客にも人気を博しています。それに呼応するため、運転間隔の短縮、停留所のリニューアル、無線LANの導入、新型車両の導入など、利用者にとっての魅力を高めています。

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June 15, 2020

プラーターにまもなく「Königreich der Eisenbahnen」が誕生(下)

2020061217今日は一昨日に続き、プラーターにまもなく誕生する「Königreich der Eisenbahnenの続報」をお伝えしましょう。

今回、ジオラマに再現される各州のランドマークは、以下のとおりです。今日はブルゲンラント州からフォアアールベルク州までをご紹介します。

○ブルゲンラント州
- Weinberge(ブドウ畑とワインの生産風景)
-Die Windparks als Schulbeispiel(風力発電所のある風景)
-Schloß Esterházy
-Burgen

2020061212○オーバーエスターライヒ州
-Linz市内(VOEST工業地帯、Donau- und Ennshafen、Linzer Hauptbahnhof、 Strassenbahnen,Linie 50)
-Hallstatt
-Salzkammergut、Oberes Donautal、Inntal、Mühl、Mostviertel、nördliches Alpenvorland、Dachsteingebirge、Seenlandschaften)

○シュタイヤマルク州
-Graz市内(Schloßberg、Wahrzeichen Uhrturm、Zahnradbahn、Kunsthaus、Murinsel)
-Wahlfahrtsort Mariazell(Basilika mit Pilgerzentrum、Mariazeller Bahn)
-Erzberg、VOEST Donawitz、Leoben、Ennstal、Schladming、Red Bull Ring Spielberg(レッドブル・サーキット)

2020061214○ケルンテン州
-Burg Hochosterwitz
-Kirchturm St. Jakob bei Villach
-Keltenmuseum Gracarca
-Römermuseum Teurnia
-Archäologischer Park
-Tauernbahn und -tunnel
-Seenlandschaft mit Infrastruktur、Karawanken

2020061205○ザルツブルク州
-Salzburg市内(Hauptbahnhof、Vorplatz、Festung Hohensalzburg und Kirchen、Stadtpanorama、Festspiele、Salzach)
-Brauhaus Stiegl、Kaprun, Zell am See、Red Bull、Gut Aiderbichl、Schafbergbahn

○チロル州
-Innsbruck市内(Olympisches Areal Bergisel mit Skischanze、Axamer Lizum、Fulpmesbahn, Nordkettenbahn, Hungerburgbahn mit Architektur von Zaha Hadid、Seefeldbahn - nordische Olympiaregion Seefeld、Brennerbahn、Europabrücke)
-Großglockner(Nationalpark Hohe Tauern, Lienz)
-Ötztal – Gletscher, Sölden、
-St. Anton am Arlberg
-Stubaital, Ischgl, Lechtal, Kufstein, Kitzbühel

2020061213○フォアアールベルク州
-Arlberg(鉄道と道路トンネル)
-Bodensee(駅、港)
-Bregenzewaldbahn、
-Bregenz市内(Pfänder mit Pfänderbahn、Seebühne、Festpielhaus - moderne Architektur am Bodensee)
-Feldkirch, Dornbirn、Bludenz、Lech、Zürs、Bregenzerwald、Rheintal

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June 10, 2020

大胆な空陸転換プロジェクトを発動

2020060911今日は「公共交通の話題」をお届けしましょう。新型コロナウイルスの直撃を受けたのは各国の航空会社。もちろん、インバウンド需要が経済の中心となっているオーストリアの場合、ホテルをはじめとする観光関連産業の打撃は計り知れないものがあります。

このブログでもお伝えしているように、現在、ルフトハンザ航空の傘下に入っているオーストリア航空は6月15日から運行を再開します。日本が大規模減便でとどまっているのに対し、オーストリアは全便欠航となっていました。

何しろオーストリア航空やスイス航空を傘下に収めたスターアライアンスの雄、ルフトハンザ航空ですら、政府援助がないと倒産の瀬戸際に立たされた訳ですから、大変な事態になっていることがよくわかります。

2020060913民営化したとは言え、ナショナルフラッグキャリアのオーストリア航空はオーストリア連邦政府から4億5000万Euroの財政支援を受けて、経営を継続することになりましたが、逆に、この機に乗じて連邦政府が経営に口を挟むようになりました。

まぁ、「金だけ出すから、後はご自由に‥」とはいきませんよね。特にルフトハンザの傘下に入ってからは、同社の意向が強く働いていましたので‥ 

実際、政府はオーストリア航空に役員2名を派遣しています。なお、万が一、同社が融資された資金を返済できず、デフォルトした場合は、国有化されることになっています。

2020060912日本以上に環境保全に熱心なオーストリアでは、オーストリア航空運行再開に当たって、連邦政府が色々と注文を付けました。

Sebastian Kurz首相はオーストリア航空支援に際して、「大量の雇用維持、ウィーンのハブ保証、環境対策」の三つを条件を出しています。

LCCとの熾烈な競争を繰り広げる過程で、過度な価格競争に巻き込まれるのを防ぐため、アンチダンピング法が施行されるも模様です。

これが施行されると全ての航空会社の最低運賃は将来的に40Euro(税金をはじめ全て込みの料金)に抑えられます。これは経営を安定させるための政策。

2020060914そして、利用者にとって気になるのは、「環境対策」として創設される航空環境税です。

これは短距離路線の航空旅客を鉄道に移すための政策で、350km以下の路線で一律30Euroの税金が課せられる予定です。なお、先ほどご紹介した最低運賃は航空環境税を含んだ金額です。

この航空環境税は、日本の目的税に近く、国土緑化(温暖化防止)の原資になるようです。

ただ、これだけでは不十分。そこで連邦政府は、鉄道で3時間未満のオーストリア航空の路線廃止を打ち出しました。この結果、ウィーン(VIE)-ザルツブルク(SZG)間の国内線は事実上、廃止されることになりました。

2020060915ウィーン-グラーツ間に関しては、途中、セメリング峠があるため、現時点ではReilJetでも2時間40分ほどかかっています。

一応、3時間は切っていますが、即、航空路線廃止となならないようです。ただし、セメリングベーストンネルが完成するとウィーン-グラーツ間は1時間50分に短縮されるため、このタイミングで、ウィーン-クラーゲンフルト間も含めて航空路線が廃止される模様です。

このように考えるとオーストリア国内で航空路線が残るのはウィーン(VIE)-インスブルック(INN)間くらいになるかもしれません。

ただ、オーストリア航空の国内線撤退については、経済界から反対意見が多く出ています。特にザルツブルク、シュタイヤマルク、ケルンテンなどからは、経済への影響を懸念する声が上がっています。確かに航空便では、所要時間が1時間程度ですからね。

日本人の感覚からすると、ハブ空港のウィーンに到着してオーストリアの主要都市に鉄道で移動するのは面倒‥と考えてしまいますが、ご存じのようにウィーン国際空港の地下にはÖBBの駅があります。

ここからRailJetに乗り換えれば、便数の少ない航空便への乗り継ぎ時間を考慮すれば、鉄道のデメリットは少なくなります。

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June 02, 2020

ウィーンの路面電車、市外への延伸計画

20200601015月の当ブログですが、読まれた記事は新型コロナウイルス感染関連のものが多かったようです。また、最もアクセスが多かった日は5月31日、次が5月3日でした。皆さま、ご愛読、ありがとうございました。

さて、今日は「ウィーンの路面電車延伸計画」の話題をお届けしましょう。

先日、このブログでもお伝えしたように、かつてウィーンでは地下鉄中心の街づくりが検討されていましたが、予算などの関係から断念し、現在のような地下鉄、路面電車、路線バスを組み合わせた公共交通機関網が整備されています。

路面電車についても、U2のSeesstadt延伸に合わせて26系統が新設されたように、新しい路線や延伸も行われています。

ところで、現在、ウィーンの路面電車の路線はウィーン市内に限定されていますが、以前は260(Mauer-Perchtoldsdorf間)/360(Rodaun-Mödling間)系統が隣接エリアまで運航されていました(1967年に廃止)。

2020060103その後、市営交通という位置づけのため、路線はウィーン市内に限定されていましたが、ウィーン周辺の人口が拡大するにつれて、路面電車の路線を延伸し、隣接するニーダーエスタライヒ州へ乗り入れようという計画が検討されています。

先日、Ulli Simaウィーン市議(SPÖ)がKURIER紙のインタビューで、計画概要を説明しています。検討されているのは3つのルート。

○71系統延伸案
71系統は現在、Börse-Ring-Schwarzenbergplatz-Zentralfriedhof間の路線ですが、SimmeringからSchwechatを経由してRannersdorfへ延伸する計画です。

KaiserebersdorfでS7、SimmeringでU3、S80と接続するため、シュヴェヒャートエリアの利便性が大幅に向上します。

延伸による需要予測は6000名。2022/23年には完成する可能性があるようです。なお、72系統という仮系統番号が付与されています。

2020060102○25系統延伸案
25系統は、現在、Aspern-Floridsdorf間の路線ですが、Groß-Enzersdorfまで延伸する計画です。

延伸が実現すると、Aspernを経由してU2(Donauspitalで接続)、U1(Kagranで接続)への乗り継ぎが可能です。

延伸による需要予測は数千人。2026年には実施される可能性があります。

なお、Groß-Enzersdorfにはパークアンドライド(P+R)施設を併設することが検討されています。

○Liesing-Kaltenleutgeben間の新路線
前の2つが「ちょっとだけ路線を延ばしてニーダーエスターライヒ州に入ります」という感じなのに対して、最も規模が大きく、「本格的に鉄道を敷きます」というのが、このプラン。

2020060104S BahnのLiesingからrchtoldsdorf、Waldmühle経由で、Kaltenleutgebenまで路線を新設するものです。Rodaunで現在の60系統との接続も計画されています。

このプロジェクトは、路線長が長いこともあり、Wiener Lokalbahnenが建設と運用を担当することになる予定です。Badner Bahnと同じように専用軌道が中心になるため、同社の路面電車システムが導入される見込みです。

恐らく、現在、製造が進められているType500型に近い車両が投入されることになるでしょう。ただ、実現時期は明言されていません。

3つのプロジェクトは、いずれも「通勤交通をより環境にやさしくし、気候保護に貢献する」ための中心的な取り組みです。

実際、ニーダーエスターライヒ州の周辺地域からの通勤客は、平日26万人にものぼります。

ウィーンの住民は3分の2以上が、公共交通機関を利用していますが、周辺部からウィーンに通勤する人の場合、現状では1/3が自家用車を利用しています。

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May 26, 2020

番外編 懐かしのDB/DR共存時代

2020052611レストランやカフェが営業を再開して1週間が経過しましたが、オーストリアらしいニュースがありました。

24日の深夜、警察官が市内をパトロール中、某レストランのシャニガルテンでワインを傾けているご夫婦を発見。現時点では、営業は23時までなので、いわゆる「門限破り」です。

警察官が件のご夫婦に職務質問したところ、そのカップルは、何とビックリ連邦大統領Alexander Van der Bellen(アレクサンダー・ファン・デア・ベレン)ご夫妻。

万が一、この時間もレストランが営業していた場合、レストランには最大30000Euroの罰金が科せられます。が、この時、レストランは既に閉店しており、ご夫婦だけが、シャニガルテンでおしゃべりに興じていた‥ということだったようです。

ただし、閉店後とは言え、店舗の施設を利用させていたため、レストラン側の責任を問う声もあるようです。

Feriの疑問、オーストリア連邦大統領にはSPは付かないのでしょうかね。通常、SPが同伴していれば、何らかの形で大統領ご夫妻に注意していたと思うのですが‥なお、夜間外出禁止令が出ている訳ではないので、ご本人には罰則は適用されません。

さすがオペレッタ国家です。もちろん、Alexander Van der Bellen大統領は軽率だったと謝罪しています。

2020052501さて、今日は番外編として「ドイツの鉄道にまつわる話題」をお届けしましょう。

先日、ステイホームを実践中の友人から、興味深い写真が送られてきました。ステイホーム中、自宅を整理している時に出てきたという「ドイツ鉄道の公式カレンダー」の写真です。

このカレンダーですが、今から見ると、非常に珍しいもの。カレンダーですが、1993年版。ということは、発行は1992年ということになります。

表紙には「Unternehmen Zukunft Die Deutschen Bahnen」と書かれており、その右側にはDR(Deutsche Reichsbahn、正式にはドイツ帝国鉄道となりますが、通常はドイツ国鉄)とDB(Deutsche Bundesbahn、ドイツ連邦鉄道)のロゴマークが印刷されています。

ここで、ドイツ、再統一の歴史を振り返ってみましょう。

20200525031989年11月9日、「ベルリンの壁」が崩壊し、12月には東ドイツ憲法からドイツ社会主義統一党による国家の指導を定めた条項が削除され、一党独裁制が終焉を迎えます。

右の写真は1979年、ドイツ民主共和国( Deutsche Demokratische Republik;、DDR)時台のライプツィヒ中央駅です。重厚な駅舎が印象的ですが、自動車がほとんど通っていません。

翌1980年3月、東ドイツで自由選挙が実施され、ドイツ再統一を主張する保守連合「ドイツ連合」が勝利。これを契機に東西ドイツ再統一に向けた動きが加速します。

20200525085月には西ドイツと、通貨・経済・社会同盟の創設に関する国家条約が調印され、7月には東ドイツに西ドイツの通貨であるドイツマルクが導入されました。 ちなみに、それまで東ドイツの通過はマルクでした。

そして、同年、8月31日、ドイツ再統一条約が調印され、10月には西ドイツ基本法に基づいて、東ドイツの州が西ドイツに編入されました。

2020052504一方、鉄道ですが、東西が別れていたときの「国鉄」ですが、西側はドイツ連邦鉄道(Deutsche Bundesbahn、DB)、東側はドイツ帝国鉄道(Deutsche Reichsbahn、DR)となっていました。

共産圏の国が、戦前のDeutsche Reichsbahnを引き継いだのは、何とも皮肉な出来事ですが、これは当時、東ドイツが「我が国こそ、正統な後継者である」ことを内外に示すために、あえてこの名称にこだわったと言われています。

最も直訳すると「帝国鉄道」ですが、実質はドイツ国有鉄道というニュアンスでしたが‥

さて、両国の「国鉄」は、戦後復興期に大きな違いを見せます。DBが、アメリカをはじめとする西側諸国の資金的な援助を得て、急速な復旧、近代化を行い、驚異的な成長を実現します。

2020052505それに対して、ベルリンを中心として戦争による被害が甚大だったDRの戦後復興は、困難を極めました。更に占領していたソビエト連邦は、政府(DR)に対して戦後賠償の一環として、鉄道車両や設備を接収します。

電気鉄道設備(電気機関車や変電設備など)を接収するため、ソビエト側は、何と電化復旧を中止し、非電化の状態で復旧するようにDR(実質的には東ドイツ政府)に要求したのです。

2020052510接収された戦前の電気機関車などは、ソビエトの寒冷地で電化のテストに使われましたが、テスト終了後、DRに返却されています。

しかし、酷使がたたってボロボロになっており、とても、そのままでは使い物にならなかったとか‥ソビエトに抑留された電気機関車に関しては、興味深い後日談が多数ありますが、今回、ご紹介は控えておきます。

DRで、戦前は電化してあった幹線が、戦後、非電化になった背景には、このようなソビエト側の「強い圧力」があった訳です。

2020052507ちなみに3枚目と4枚目はDR時代のものですが、この区間は戦前、電化されていました。また、現在は電化されているという話です。

さて、国が再統一されたので、当然、公共交通機関の要となる鉄道の統一も進められます。

戦前は同じ車両が使われていましたが、45年の間に、両鉄道は独自の進化を遂げ、結果として、「全く別の鉄道」に‥皮肉なことに、戦前の蒸気機関車などだけが、唯一、共通の資産でした。

特にDRでは、ソビエト連邦主導の計画経済により、車輌製造も独自に行うことが許されず、東側各国で分担して製造するのが一般的でした。

そのため、ドイツらしからぬデザインの機関車や客車も活躍していました。

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May 18, 2020

セメリングベーストンネルの今

2020051202今日はÖBBが進めている大規模プロジェクト「セメリングベーストンネルの今」をお伝えしましょう。

ウィーンとグラーツ、クラーゲンフルト方面を結ぶ南鉄道は、皆さまご存じのように世界遺産にもなっている山岳路線セメリング鉄道が輸送上のネックになっています。

グラーツは「オーストリア第2の都市」ですから、ウィーン-グラーツ間の輸送改善は、ÖBBにとっても長年の懸案です。この区間で核となるのが、セメリングベーストンネル(Semmering-Basistunnel)です。

2020051204現在、新型コロナウイルス蔓延のため、オーストリアでは工事が中断している建設現場・土木現場がありますが、ÖBB-InfrastrukturAGは、施工会社と協力し、建設現場で働く作業員の健康を保護しながら、セメリングベーストンネル建設を進めています。

施工会社は、関係者と協議の上、新型コロナウイルス感染拡大時の作業マニュアルを開発しました。従来よりも作業条件が厳しくなっていますが、工事は順調に進んでいます。

2020051206セメリングベーストンネルは、セメリング峠をバイパスする新線で、Gloggnitz(グログニッツ、ニーダーエスターライヒ州)-Mürzzuschlag(ムルツクシュラーク、シュタイアマルク州)間に建設されています。全長は27.3kmです。

日本の北陸新幹線の飯山トンネル、上越新幹線の大清水トンネルと、ほぼ同じ長さです。

日本の鉄道トンネルは新幹線も含めて、複線で作られるのが一般的ですが、ヨーロッパの長大トンネルは、事故や保守工事などを想定して、単線トンネルを並列で建設するのが一般的です。このセメリングベーストンネルも単線並列方式です。

2020051203トンネル工事には、接続トンネルや縦坑などを含めると62工区で工事が進められています。

このうち、トンネル本体については、5箇所から掘削が進められています。基本的にはトンネルボーリングマシンを使って掘削していますが、両側からだけでなく、縦坑を掘って、途中からも掘削を行っている点が興味深いところです。

これは、建設用の縦坑が、トンネル完成時には換気塔や非常脱出口などに使用されるためです。

ところで、この手のベーストンネルは、地表から深い部分に建設されるため、線形は直線になるケースが多いのですが、セメリングベーストンネルは、図をご覧になるとわかるように、曲線が多くなっています。

これは、施行のしやすさや環境保護などを勘案して、ルートを決めたためのようです。

2020051201なお、オーストリア南部ニーダーエスターライヒ州は、トンネル建設に関して、地質の面で厳しい地域と言われています。そのため、地質を安定させながら掘削と施工を行っているようです。

セメリングベーストンネルは、2012年に起工式が行われ、最初にバイパス工事、給水設備などの準備工事からスタート。

そして、2014年から掘削工事が始まりました。そして、起工式から8年で、工事は中間点に達しました。右の図で、赤い部分が掘削工事が完了した区間です。完成は2027年が予定されています。

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