March 29, 2020

歌劇場の動向

20200327011オーストリアでは、今日から「夏時間」に移行しました。オーストリア航空ですが、新型コロナウイルス感染拡大と各国の入国制限を受けて、全便の運行停止を4月19日まで延長しました。フライトをキャンセルした方が、赤字が出ないと思うので、ある意味、賢明な決断と言えるかもしれません。

ところで、コメント欄で興味深い情報をご提供いただきましたが、オーストリアでも医療崩壊を防ぐため、検査は基本的に発症者に絞っています。

それ故に、外出を事実上、禁止し、接触感染を防止してる訳です。28日、15時現在、感染者数は7995名、死者は68名です。感染者の増加は、若干、低くなってきているようです。また、先日、年代別感染者数が発表されました。

これを見ると、45歳~54歳が最も多く、次に多いのが64歳以上です。逆に5~14歳、5歳以下は非常に少なくなっています。やはり成人で経済活動を行っている人は、色々な人と接触するため、感染者が増えているのかもしれません。

各種の規制により経済活動も制限を受けているオーストリアですが、劇場関連の話題をお届けしましょう。

3月27日の時点では、オーストリア劇場連盟所属の各劇場は4月13日まで休演となっています。ただし、現在、4月と5月の全公演はCulturallでもチケットの販売が休止されています。

20200327001これは公演中止が継続された場合、チケットの払い戻し対応が負担になることを考えているのだろ思います。つまり、状況が流動的であることを物語っています。

さて、チケットの販売も関係するので気になる来シーズンの予定ですが、4月24日に予定されていたVolksoperWienの2020/21シーズン記者会見は中止が決まりました。新しい日程は未定です。

一方、Wiener Staatsoperについては、4月26日11時(現地時間)に2020/21シーズン記者会見が実施される予定です。

それを受けて、Culturallでは4月29日、14時から2020/21シーズンのチケット予約を開始する予定になっています。ただ、これは劇場側が来シーズンのプログラムを予定どおり発表した場合の対応なので、4月26日の状況次第と考えた方が良さそうです。

先日もお伝えしたように、現在、各劇場のボックスオフィスは閉鎖されています。

20200327002なお、グラーツでは4月13日以降の公演については、チケット販売を継続しているようですが、変更や休演の場合があることが明示されています。

なお、休演したチケットを持っている方は、キャンセル以外に別の公演(2020/21シーズンを含む)への振替もできるようです。また、グラーツは、2020/21シーズン記者会見についての情報は、現時点では入手できませんでした。

今シーズンの公演がどうなるかが決められないため、状況によっては来シーズンの公演プログラムにも影響が出ると思います。例えば、公演休止になった期間中に実施予定だったPremiereの扱いなのです。その関係で、通常は4月上旬に記者会見が延期されているのでしょう。

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March 03, 2020

「Der Zigeunerbaron」PremiereReport(その3)

Zigeunerbaron_0013回連載の「Der Zigeunerbaron」PremiereReport。今日が最終回です。明日から通常モードに戻りますので、オペレッタの関心のない方は、ご容赦ください。

さて、演出に関しては、Feriも含めて不満の向きが多い「チャールダーシュの女王」に比べれば、良いと思います。ただ、ジプシーの場面を中心に暗い場面が多いのは、致し方ないかもしれません。ある意味、民族対立を鮮明にしたいという意図があるのでしょう。

20200301006全体的にハプスブルク家のハンガリー統治に対して批判的な感じを受けました。ただ、オリジナルの設定を極端に改変していない点は「チャールダーシュの女王」よりは評価できます。

左の写真はカーテンコールに登場した制作スタッフですが、ブーはありませんでした。

○歌手の仕上がりなど
タイトルロールのバイリンカイを演じたLucian Krasznecさんは、Volksoperでは2016年「乞食学生」のシモンでハウスデビュー。その後、「チャールダーシュの女王」でエドウィンを演じています。

Zigeunerbaron_ohp_110エドウィンの評価は「歌の仕上がりは次第点」。今回はマイクなしで実力が問われます。頑張っていましたが、聞かせる歌では声の出方が、不十分。正直、不満の残る仕上がりでした。

一方、リザーブ組のMarco Jentzschさんは2019/18シーズン「ホフマン物語」でハウスデビューを果たした方で、今シーズンはバイリンカイのリザーブに起用されました。

オペラ出身の方らしく公開ゲネプロでは、素晴らしい歌声を披露しています。正直、バイリンカイはリザーブ組の勝ち。

20200301005ザッフィも、本作品ではキーを握る重要な女性。Kristiane Kaiserさんは2004/05シーズンからアンサンブルとして活躍している方。主にオペラ演出が多いので、声もよく出ていて、歌、お芝居共に見事でした。

リザーブ組のKatrin Adelさんは、ドイツ出身のオペラ歌手で、ドイツの歌劇場で多数のオペラに出演しています。

Volksoperは今回が始めたてのようですが、歌、お芝居共に素晴らしいものがありました。どちらが良いかは、好みの問題になると思います。

ツィプラはMartina Mikelićさん。この方も、どちらかというとオペラ畑の歌手だけに、歌については安定感がありました。

20200301007とくに「カルメン」でタイトルロールを歌っているので、この役にはピッタリです。オペレッタでは「地獄のオルフェ」ではヴィーナスに起用されています。今回は妖艶な感じが良かったですね。

本作品は、聞かせる歌が多いので、お芝居とともに歌のうまさがポイントになります。

20200301004リザーブ組は安定感抜群のAnnely Peeboさん。雰囲気、お芝居、歌ともに申し分ありません。

ジュパーンは広告の写真にも掲載されたKurt Rydlさん。なかなか芸達者な方。押し出しも強く、この役にピッタリという感じがしました。

リザーブ組は、おなじみのGerhard Ernstさん。ゲネプロで拝見しましたが、お芝居は申し分ありません。甲乙つけがたい感じですね。

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March 02, 2020

「Der Zigeunerbaron」PremiereReport(その2)

Zigeunerbaron_ohp_126今日は休憩を挟んで、「Der Zigeunerbaron」の後半をお伝えしましょう。

第2幕 テメシェ県のジプシーのキャンプ
バリンカイは皆の反対を押し切り、このジプシーのキャンプで、ザッフィと情熱的な一夜を明かします。ツィプラはこの2人を易しく見守っています。

バリンカイは「妻よ起きなさい」とザッフィを起こすが、彼女は彼に體を許しているのに、「結婚するなんて冗談でしょう」と信じません。

バイリンカイは「君は僕の本当の妻だ」と「昨日の夜」を歌います。2人は声を合わせて愛の喜びを歌うのですが、2幕最初の聴きどころ。

その時、ツィプラが昨夜、夢のお告げがありましたよと言って現れ、「若き領主が恋人と初夜を契るところに宝がある」と夢の中に老人が現れて告げたと言います。

そんな馬鹿なと言いながらバリンカイが昨夜、彼女を抱いた塔の壁を崩すと財宝がざくざくと出てきます。財宝の山を見て、三人は「ああ見てご覧、きんきら光り、美しい音を立てる」と歌います。

Zigeunerbaron_ohp_116この時、オットカールが物陰から財宝発見の一部始終を見ていました。

夜も明けきってジプシー達が起きてきて、過酷な労働が始まります。鍛冶屋の場面なのですが、鉱山の採掘現場のような設定でした。

そこへジュパーン、オットカールらがやって来て、バリンカイの見つけた宝を見て悔しがるのでした。

カルネロはバリンカイが本当に結婚したというのを聞いて「誰が結婚式を執り行ったのか」とたずねます。バリンカイとザッフィは「コウノトリの司祭に青空の御堂」と歌いますが、カルネロは「そんな破廉恥な行為は風俗取締委員会にかけてやる」といきまきますが、バリンカイらは気にもとめません。

Zigeunerbaron_ohp_117そこへテメシュ県知事のホモナイ伯爵が徴兵官としてやって来て元気よく徴兵の歌「さあ、手を差し伸べて、恋人と別れよ」と歌い、皆に徴兵の酒を勧めるのでした。

前演出では、ここは派手な格好の女性兵士(キャンペーンガール)が登場し、男たちをたぶらかすのですが、本演出では正統派に近い展開。ホモナイ伯爵は、オットカールに「戦争で武勳を立てて男になるのだ」と迫ります。

酒を飲んだら兵隊になる義務があるとも知らず、酒に目のないジュパーンとオットカールは杯を受けてしまい、スペイン戦線に出征するため、まずウィーンへ行くことへ。

アルゼーナとミラベルは「ウィーンのように喜びに満ちた街は何処を捜しても他にない」と歌います。

Zigeunerbaron_ohp_131カルネロはホモナイ伯爵にバリンカイとザッフィの関係を説明し、汚らわしいジプシーの娘との結婚など認めませんようにと訴えます。

それを聞いてツィプラは、ザッフィはジプシーの娘ではない、由緒正しき方のお嬢様と1枚の証明書を伯爵に差し出します。

伯爵はそれを見て、彼女がこの地方の最後のトルコ太守の娘であることを皆に発表。

ザッフィは喜びますが、バリンカイは「私はジプシーの娘と結婚したのであって、太守の娘となれば自分には彼女と結婚する資格がない」と言いって、徴兵の酒をあおぎます。

Zigeunerbaron_ohp_132悲しむ女達を残して、男たちは「愛は祖国に捧げよう」と元気よく出征していきます。

この場面では、回り舞台が上がり、下(奈落)から骸骨姿の人物が多数登場。戦場が地獄(戦死を覚悟して戦地に赴く決意)であることを暗示しているのでしょう。まぁ、この程度はOKかな。暗転で3幕へ入ります。

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March 01, 2020

「Der Zigeunerbaron」PremiereReport(その1)

Zigeunerbaron_ohp_001コロナウイルスの蔓延で自粛ムードの日本ですが、ウィーンは平常モード。2月29日、2019/20シーズンで注目のオペレッタ「Der Zigeunerbaron」(ジプシー男爵)のPremiereが盛大に行われました。

Volksoper得意のシュトラウスもの、かつ定番オペレッタだけに、楽しみでもあり、心配でもあります。

何しろ、2005/06シーズンでPremiereが行われた「Der Zigeunerbaron」では、3幕で出征した兵士の子供が遊ぶなか、兵士達が全員英霊となって帰還するという、オリジナルを冒涜するような演出でした。

さて、今回、演出を担当したPeter Lundさんは、過去にVolksoperで「Frau Luna」(2012/13シーズン)、「Axel an der Himmelstür」(2016/17シーズン)、そして「Die Csárdásfürstin」(2018/19シーズン)の演出を担当しています。

作品毎に演出の詳細は異なりますが、共通しているのは「映像」(動画)を多用する傾向にあること。また、ドイツ出身であるためか、Feri個人としては反戦志向が強いように感じます。

Zigeunerbaron_ohp_005まぁ、自分が原作を考えた作品であれば良いのですが、自分の思想でオリジナル作品を改編するのは、正直、Feri個人としては抵抗があります。何しろ作品が生まれた時代背景が違いますから‥

本作品は1885年(明治18年)10月24日、アン・ディア・ウィーン劇場で初演が行われました。当日はシュトラウスの60歳(還暦)の誕生日前日。1885年と言えば、自由の女神像がニューヨーク港に到着した年。

短期間で書き上げたといわれる「こうもり」と異なり、シュトラウスはこの作品を2年の歳月をかけて作曲しており、オペラに近い作品です。

実際、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフⅠ世は、本作品気に入り、劇場の皇帝席にシュトラウスを呼び寄せ、“シュトラウス君、君のオペラを余は、とても気に入った”と言ったという逸話も残っているようです。皇帝にオペラと認められたことがシュトラウス本人も嬉しかったようです。

制作陣は演出がPeter Lundさん、舞台装置がUlrike Reinhardさん、衣装がDaria Kornyshevaさん、振付がFlorian Hurlerさん、映像がAndreas Ivancsicsさん、合唱指揮がThomas Böttcher さんです。

Zigeunerbaron_ohp_007指揮はAlfred Eschwéさん。主な出演者は、以下のとおりです。なお( )内は公開ゲネプロに出演したメンバー(リザーブ組)です。
-Sándor Bárinkay, ein junger Emigrant:Lucian Krasznecさん(Marco Jentzschさん)
-Czipra, Zigeunerin:Martina Mikelićさん(Annely Peeboさん)
-Saffi, Zigeunermädchen:Kristiane Kaiserさん(Katrin Adelさん)
-Kálmán Zsupán, ein reicher Schweinezüchter im Banat:Kurt Rydlさん(Gerhard Ernstさん)
-Arsena, seine Tochter:Anita Götzさん
-Mirabella, ihre Erzieherin:Regula Rosinさん(Elisabeth Flechlさん)
-Ottokar, ihr Sohn:David Sitkaさん(Johannes Straußさん)
-Conte Carnero, königlicher Kommissär:Boris Ederさん
-Graf Peter Homonay:Marco Di Sapiaさん(Morten Frank Larsenさん)
-Páli, Vorarbeiter :Hubertus Reimさん

余談ですが、バイリンカイの名前はSándorなのです。思わずFeri憧れのおじさまSándor Némethさんを思い出してしまいます。やはりハンガリー色の強い作品です。

Zigeunerbaron_ohp_021実は27日に公開ゲネプロがありました。通常、Premiereと同じ歌手が起用されるのですが、今回は上記のようにリザーブ組(セカンドクルー)。唯一Premiere組だったのはアルゼーナのAnita Götzさんだけでした。

Volksoperの場合、リスクテイクの観点からリザーブ組の方に安定感がある歌手を起用するケースが多く、そういう意味ではPremiereはちょっと心配。

なお、今回は公開ゲネプロ(今回はリザーブ組が出演)に加えて、公式写真撮影も含めたPremiere組を使ったゲネプロも、別途、行われたという話を耳にしました。

Feri個人の感想ですが、トータルで見るとリザーブ組の方が仕上がりは良かったような気がします。歌手の仕上がりについては、別途、ご紹介する予定です。ただ、さすがにVolksoperだけあって、ヨハン・シュトラウスものは強いですね。演奏はすばらしいの一言。さすがAlfred Eschwéさんです。

興味深いのは、最近のオペレッタ新演出では、ワイヤレスマイクを使うケースが多かったのですが、今回は使用されませんでした。これは、本作品がオペラに近いことから実現したものと思われます。それだけに歌手の実力が良くわかります。

Zigeunerbaron_ohp_045最近のオペレッタの例に漏れず舞台装置は比較的シンプルで、回り舞台を使っていますが、メインは建物の壁です。それに小道具を組み合わせて変化をつけるというパターンです。

また、一部、奈落を上手に使っている場面もありました。ジブシーのキャンプなどは、全体的に暗い感じにしており、成金ジュパーン達とは対比を明確にしている感じです。

あえてオーストリアが支配下に治めたハンガリーでは、民族が二極化しているという背景をモチーフにしているように感じました。

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February 19, 2020

オーストリアこぼれ話 記事が5000件になりました

202002190062004年9月10日から始めた「オーストリアこぼれ話」ですが、紆余曲折を経ながら本日の記事が5000件目となりました。

最初の記事は「Volksoper100周年記念ガラコンサート」の話題でした。当時は、中嶋彰子さんがアンサンブルとして活躍しており、その模様もお伝えしました。

それ以降、定期的に記事をアップしてきましたが、最近では、原則、毎日更新を行っているのは、ご存じのとおりです。途中、諸般の事情でお休みした時期もありましたが、15年以上も続けることができたのは、自分でも信じられません。

オペレッタの話題はもちろん、街角の話題、鉄道や航空機の話題、ホイリゲや旅行記などなど、幅広いテーマで展開してきました。

最初の頃は写真の数も少なかったですが、最近は写真の量も増えましたね。また、ブログ開設より、かなり前からオーストリアを訪問していたため、定点撮影で、その変化をお伝えするパターンも生まれてきました。

20200219007そして、最近ではVolksoperのオペレッタに関してはPremiere Reportをお届けするのが恒例になりましたが、どこまで、皆さまのお役に立っているのか、コメント欄へのレスポンスが少ないので、自分では判断のしようがありません。

FeriはVolksoperの私設応援団(当たり前ですが、チケットは完全自腹)なので、おかしな演出でも、極力、楽しく観ていただけるように工夫しているつもりですが‥

振り返ってみると、当時、VolksoperのDirectorはRudolf Berger さんでした。2003年から就任した同氏は、今まで日の当たることがなかった「クーハンデル」や「シカゴの侯爵夫人」などのオペレッタ作品を取り上げるなど、新しい試みに取り組みました。「ヴェネチアの一夜」や「伯爵令嬢マリッツア」などが、同氏がDirector時代に新演出になった代表的な作品です。

20200219005ただ、当時の新演出オペレッタはオペレッタファンの期待を裏切るものでした。幸い、当時は、Robert Herzl氏が演出を担当した「Die lustige Witwe」、「Die Csardasfürstin」といった魅力的な作品も上演されていました。

Feriが最初に観たオペレッタは「Die lustige Witwe」。次が「Die Csardasfürstin」ですが、これが新演出作品でしたら、ここまで長くVolksoperに通うことはなかっただろうと思います。

さらに当時は、今から考えると、まだ魅力的なオペレッタ歌手が出演していました。客席と舞台が一体となった盛り上がりが、Feriがオペレッタにはまった最大の要因。現在も演出がほとんど変わらない「Die Fledermaus」も素晴らしい作品ですが、観始めた頃では、その魅力を感じ取ることはできなかったと思います。

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January 14, 2020

「Gräfin Mariza」再演レポート(下)

20200113002

昨日に引き続き「Gräfin Mariza再演レポート」をお届けしましょう。演出に関しては、前回のものを踏襲しており、大きな変更はありません。

「謎の少女」がストーリーテラーとして、Tschekkoと一緒にポイントで舞台袖から登場します。本筋とは余り関係がないので、この演出は、どうかな‥と思っています。

また、ジュパンが1幕でマリッツァに強烈にアプローチする場面では、例によってジュパンと同じ格好をしたダンサーが12名登場し、ジュパンの熱意を表現しています。

ここも、やり過ぎの感がありますが、まぁ、テンポの良い踊りがメインなので、ギリギリで許容範囲と言えるでしょう。なお、Jakob Semotanさんは、体格が良いので、群舞の中でも存在感があり、埋もれることはありませんでした。これは、非常に良かったですね。

20200113001また、ジュパンがリーサにアプローチする場面は、Jakob SemotanさんとJuliette Khalilさんの体格が随分違うため、ユーモラスな感じが強調されていました。2人の息もあっていましたね。

また、出番は少ないですがキーパーソンとなっているマニャはAnnely Peeboさんだったので、抜群の歌唱力で存在感を発揮していました。前回の上演時にも、Annely Peeboさんがよく起用されていたので、役作りも完璧でした。

また、2幕のタバリンの場面では「Die Bajadere」の楽曲が使われて、バレエ団による華麗なダンスが披露されるのは従来どおりです。

オペレッタでは、リフレインがポイントになるケースが多いのですが、本演出では、3幕のハイライトであるマリッツア、ポプレスク、ジュパンの三重唱のリフレインが1回と少ないのが残念。

これは、3幕の時間短縮を図るためだと思うのですが、リフレインの途中で舞台が回り、ボジェナ侯爵夫人とペニジェクが登場する演出です。

202001120073幕については、お芝居が中心になりますが、ボジェナ侯爵夫人とペニジェクの掛け合いが大受けでした。ベテランのHelga PapouschekさんとRobert Meyerさんですから、アドリブも含めて、見応えのあるお芝居でした。

なお、ボジェナ侯爵夫人とポプレスク侯爵の再会場面については、過度な演出ではなく、好感が持てます。

3幕後半では、リーサとジュパン、ボジェナ侯爵夫人とポプレスク侯爵、ペニジェクが一緒になって歌う場面が見どころですが、ここもリフレインがないのが寂しいところ。

Feriは、4年ぶりに観たわけですが、Karsten Januschkeさんの指揮もよく、カールマンらしい躍動感あふれる楽曲の演奏は見事でした。

カーテンコールでは、Caroline Melzer とJuliette Khalilさんに花束が投げ込まれました。オペレッタの花束は久しぶりですね。

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January 13, 2020

「Gräfin Mariza」再演レポート(上)

20200112001日本では、今日は「成人の日」でお休みですね。華やかに着飾った若い方が街中で見られることでしょう。12日の日曜日、ウィーンは快晴。気持ちの良い1日となりました。天気が良いと、散歩が好きなウィーン子は、一斉に繰り出します。Feriも、その1人‥

さて、2020年、最初の「オペレッタの話題」は、Volksoperの「Gräfin Mariza再演レポート」をお届けしましょう。

2019/20シーズン、VolksoperでFeriが期待していたのは、カールマンの傑作「Gräfin Mariza」の再演です。

Feriは1998年からVolksoperでオペレッタを観始めましたが、今日に至るまで、同一演目でPremiereを3回経験した作品が「Gräfin Mariza」です。

最初は2002/03シーズン(Premiereは2002年12月)。この演出は場面設定を全面的に変えてしまった上に、3幕がテレビショーの形式をとるなど、正直、最悪の作品でした。

なにしろ収容所のような農園に、カリビアンバンドが出てくるのですから‥Volksoperの「オペレッタ暗黒史」と言える演出です。

その後、ブダペストとの共同制作による新演出が2006/07シーズンにPremiereを迎えました(Premiereは2006年12月)。本演出は、正統派に戻り、明るく楽しい舞台に仕上がっており、Feriは最も気に入った「Gräfin Mariza」でした。

Sándor Némethさんがポプレスク公爵に起用されるなど、キャスティングも良かったという印象です。

20200112004ただ、ブダペスト色が強かったことが影響したのか、2013/14シーズンに再度、演出改定が行われました(Premiereは2014年3月)。最近の傾向で若干、暗い舞台になりましたが、舞台設定やお話の展開はほぼオリジナルのままで、安心しました。

本作品は、3幕がお芝居中心なので、その対応が鍵を握ります。この演出ではペニチェクにRobert Meyerさんを起用し、お芝居で魅せる展開にしたのが、良かったかもしれません。

本作品は2シーズン上演されたものの、その後、残念なことに上演が途切れてしまいました。

そして、2019/20シーズンに再演が決まったものです。Volksoperの場合、上演期間が途切れると、新演出に切り替える傾向があったのですが、最近は「地獄のオルフェ」、「ヴェネチアの一夜」など、出演者は変わりますが前演出を踏襲するケースが増えてきました。

ある意味、良い演出ならば、無理に演出をかえる必要はないので、結構なことです。

Feriが出演者を観て喜んだのはタイトルロールのGräfin MarizaにCaroline Melzerさんが起用されること。

それでは、再演初日の様子をお伝えしましょう。久しぶりに「オペレッタらしいオペレッタを観た」というのが、Feriの率直な感想でです。

指揮はフリーの指揮者Karsten Januschkeさん。今シーズンは、本演目だけの担当です。余談ですが2019年5月、日本の新国立劇場で「Don Giovanni」を振っています。

主にドイツの歌劇場への出演が多いようです。オペレッタは2018年にVolksoperで「Zirkusprinzessin」を振っていますが、Feriは観ていません。

20200112003主な出演者は、以下のとおりです。
-Gräfin Mariza:Caroline Melzerさん
-Fürst Populescu:Toni Slamaさん
-Baron Koloman Zsupán:Jakob Semotanさん
-Graf Tassilo:Carsten Süssさん
-Lisa, seine Schwester:Juliette Khalilさん
-Karl Stephan Liebenberg:Nicolaus Haggさん
-Fürstin Božena:Helga Papouschekさん
-Penižek, ihr Kammerdiener:Robert Meyerさん
-Tschekko, ein Diener:Franz Suhradaさん
-Manja, eine Zigeunerin:Annely Peeboさん
-Ein Mädchen:Emma Westerkampさん

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December 31, 2019

2019年の「オペレッタ観賞」を振り返って

201911230062019年も、1年間、当ブログにお付き合いいただき、ありがとうございました。2004年9月に当ブログを開設したので、今年で15年になります。まぁ、良く続けられたものです。

Feriにとって、2019年は激動の一年でした。日本滞在中に自然災害の直撃も受けましたし、自分の身辺にも大きな変化が訪れました。

さて、今日は当ブログ、恒例の「今年のオペレッタ観賞を振り返って」をお届けしましょう。

まず、2019年に観たオペレッタですが、2008年に続き、非常に少なくなってしまいました。

 Volksoperでは「ヴェネチアの一夜」、「姉さんと私」、「Axel an der Himmelstür」、「地獄のオルフェ」、「チャールダーシュの女王」、「にんじんの王」の6作品、そしてバーデン市立劇場では「ファテッニッツァ」です。

Schwester_015とは言っても、「姉さんと私」、「にんじん王」の2作品は、しっかりPremiumとゲネプロに顔を出しました。Volksoperで上演されたオペレッタのPremiereについては「皆勤賞」です(笑)。

ゲネプロを含めると、2019年のオペレッタ鑑賞回数は10回。かろうじて二桁になりましたが、最も多かった2016年は27回ですから、三分の一という惨憺たる結果。とても「オペレッタにはまっている男」というハンドルネームを名乗れない状況です(涙)。

当ブログでオペレッタ記事のコメントをお寄せ頂くSteppke様も、ウィーン・オペレッタ界の「体たらく」に愛想をつかして、ドイツ方面に舵を切ってしまったほどです。

Orpheus_0030022さて、Feriが2019年に観た作品で、ベストのものは‥作品そのものは大好きですが、設定を含む演出が気にくわない「チャールダーシュの女王」は却下。

再演ものの「ヴェネチアの一夜」と「地獄のオルフェ」については、演奏は申し分ありませんが、出演者が物足りないので、これも却下。

20191230003「Axel an der Himmelstür」もなかなか良い作品ですが、個人的には好きなタイプのオペレッタではないので、ベスト1にはなりませんでした。

このような状況では、従来、バーデン市立劇場がベスト作品の候補に挙がるケースが多いのですが、「ファテッニッツァ」は歌手は揃っていたものの、舞台装置が抽象的でFeri好みでなかったので、却下。

Axel_005残るはPremiere作品の「姉さんと私」と「にんじん王」。消去法みたいで好きではないのですが、あえて、どちらをとるかと言えば、オッフェンバックの後期作品に光を当てたVolksoperに敬意を表して「にんじん王」でしょうか。

正直、観賞前は特殊メイクの出演者に抵抗があったのですが、実際に観てみると、意外としっかりした物語。

ただ、Steppke様もご指摘のように、上演時間の関係でバタバタしているところもある点がマイナスですが、演奏も含めて、トータルで考えると最近のVolksoperのオペレッタでは珍しくバランスがとれていたと思います。

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December 17, 2019

Baden「FATINITZA」(ファテッニッツァ)PremiereReport(下)

20191216001Adventの3週目。ウィーンは天候にも恵まれて、各地のクリスマスマーケットは大変な混雑でした。一応、証拠写真をアップしておきましょう。

さて、今日は「ファテッニッツァ」の後半とFeriの感想をお伝えします。休憩を挟んで、2幕の後半が終わると暗転で3幕へ。

第3幕 ソフィアにあるリディアの家の部屋
将軍はリディアに、年老いたシュヴェルディコフ殿下と結婚せよと強く迫ります。しかし彼女はウラディミールに恋しているので、嫌だと断り続けているのです。

20191215009将軍は“人間、いつでも欲しいものが手に入るとは限らない、自分もファティニッツァを恋しているが、彼女は見つからない”と嘆くのでした(何やら意味深な発言‥)。

そこにウラディミールが現れ、“もしファティニッツァをここに連れて来たら、私とリディアの結婚を許してくれますか”と言います。

20191215011ファティニッツァに恋心を抱く将軍は、“それなら、もちろん喜んで”と答えるのでした。それを聞いてウラディミールは奥に入って変装して出てきます。

それを見て将軍はやっと、ファティニッツァがウラディミールの変装であったことに気づき、自分もファティニツァに恋をしたくらいだから、リディアがその本人に恋をするのは無理もない、と2人の結婚を認めるのでした。

20191215007本作品は、ウラディミールと、架空の女性ファティニッツァの対比が見どころ。

今回の演出ではファティニッツァは女性的なドレスで登場し、髪もロングヘアでしたので、一見すると凛々しい軍服姿のウラディミールが変装しているようには見えません。この点は良かったですね。

また、Bea Robeinさんのお芝居、歌ともに申し分ありませんでした。なかなか良い味を出していました。

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December 16, 2019

Baden「FATINITZA」(ファテッニッツァ)PremiereReport(上)

20191215000 Adventも3週目に入り、リースのろうそくも3本目に明かりが灯りました。教会のミサも、この時期、限定の式次第で行われるケースが増えてきます。

「音楽の話題」が続いてしまい、申し訳ございません。12月はVolksoperでオペレッタのPremiereがありませんでしたが、Baden市劇場(Bühne Baden)でスッペ(Franz von Suppé)の作品「FATINITZA」(ファテッニッツァ)のPremiereが行われました。

当初、観に行けるかどうか微妙だったのですが、何とか都合がついて観賞することができました。

20191215021この作品は1876年にウィーン・カール劇場で初演された作品。1877年、ロシア・トルコ戦争中のお話で、トルコのイプサラとブルガリアのソフィアが舞台となっています。

スッペがオッフェンバックの成功に刺激されて作ったオペレッタと言われていますが、スッペらしい管弦楽を重視したウィーン風の楽曲が特徴です。

バーデンでは1956年以来の上演です。
当日の指揮は、Franz Josef Breznik,さん。主な出演者は、以下のとおりです。
-General Timofey Kantschukoff(ロシアの将軍):Reinhard Alessandri,さん
-Fürstin Lydia Uschakoff(リディア、将軍の姪):Regina Rielさん
20191215001-Izzet Pascha(イプサラのトルコ要塞司令官):Franz Suhradaさん
-Osipp Wasielowitsch Safonoff, Leutnant:Beppo Binderさん
-Steipann Sidorowitsch Bieloscurim:Robert Kolarさん
―Wladimir Samoiloff(ウラディミール、副官):Bea Robeinさん
-Julian von Golz(ジュリアン、ドイツの新聞社戦時特派員):Thomas Zisterer,さん
-Hassan Bey / Mustafa /ein Pope / Wuika :Robert R. Herzlさん
-Izzet Paschas Lieblingsfrauen:Dessislava Filipovさん、Maria Korenevaさん、Maria Lukasovskyさん、Elaterina Polaterさん

本作品は3幕構成ですが、今回は2幕の途中に休憩を入れるパターンでした。また、バーデンは今まで、基本的に写実的な舞台装置と衣装が特徴でしたが、今回の舞台装置は大きなトンネル状のものだけ。この奥に様々な映像を投影することで変化を付けていました。

20191215006衣装に関しては、一応、時代設定を踏まえたものですが、後半、突飛な衣装が出てきて、度肝を抜かれました。

劇場幹部が替わったことで、演出方針に変更が生じた可能性がありますね。Feri個人としては、コンパクトでも写実的な舞台装置の方が好きです。

本作品はウラディミールが事実上の主役ですが、今回は女性がズボン役として起用されています。そのため、ファティニッツァに変装した場面では、自然体でしたね。

第1幕 ロシア軍のイプサラ野営陣地
トルコの要塞イプサラを包囲しているロシア軍ですが、要塞がなかなか陥落しないため、兵士の士気が落ちています。副官のウラディミールも恋人リディア・ウザノーヴァに思いを巡らす日々。ここで歌うワルツは聴かせます。

そこにドイツの戦争特派員ジュリアンが訪ねてきます。彼は旧友ウラディミールに会って喜ぶのですが、同時に、ロシア軍の士気が落ちているのを見て驚きます。

20191215015そこで、ジュリアンは、このたるんだ雰囲気に刺微を与えるため、アマチュア芝居でもやってみたら、と提案します。ウラディミールは、“それなら俺の女装冒険談を芝居にしよう”と言いだすのでした。

彼は変装してファティニッツァと名乗り、トルコ軍の中にスパイとして潜入し、まんまと敵の出撃情報を入手したことがあったのです。

それに味をしめて、今度は恋人のリディアの後見人カンチャコフ将軍の監視が厳しく彼女に近よれないので、再びフアティニツツァに変装して彼女の世結係として雇ってもらうことに成功。

20191215013ところが将軍がファティニツツァを気に入り、追いまわされるはめになり、ほうほうの態で逃げ出した経験が‥。この話を皆にすると、大いに受けて、早速それを芝居にすることになります。

ファティニッツァ役は当然、ウラディミールが引き受けます。芝居で盛り上がっている時、カンチャコフ将軍が突然、視察にやってきて、兵士は大慌て。

歩哨が出ていないため、激怒する将軍。しかも、ドイツの新聞記者がいるのも気に入りません。

そこで、ジュリアンは将箪に手柄話をさせて、それを記事に書くと言ってなだめるのでした。インタビューの中で“将軍のような軍人でも恋をされることがありますか”と質問します。将軍は、“一度だけある、その娘はファティニッツァと言って‥”と話し始めたところに、変装が終ってウラディミールがファティニッツァの姿で登場。

20191215014将軍は、この娘だと大喜び。ウラディミールは大変なことになったとばかり、乙女の恥らいの態で将軍をかわすのでした。

ジュリアンは将軍に、ファティニッツァの兄がトルコ軍に捕まってしまったので探しに来ているのだ、言い繕います。将軍は、“それなら私が助け出してやるから妻になってくれ”とファティニッツァの前に跪くのでした。そこにウラディミールの恋人リディアが突然訪ねてきます。

将軍はリディアに“戦場は女の来る所ではない、すぐに女子修道院に戻りなさい”と言い、兵士を閲兵するために出ていきます。

軍人達がいなくなり、兵合に二人の娘とジユリアンが残ると、そこに、トルコのスパイが乱入し、ジュリアンを縛り上げ、二人の娘をさらっていくのでした。

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