December 15, 2019

Volksoper「ブリガドーン(Brigadoon 、halbszenisch)

201912140101週末のウィーンは天気もまずまずで、皆さま、お買い物で大忙しの様子。写真のようにツリーを買い求めて、自宅へ運ぶ姿も観られました。車で運ぶ人もいますが、自宅が近い方は、こうやって人力で運ぶようです。

20191214005さて、今日は、12月1日にVolksoperでPREMIEREがあったブロードウェイ・ミュージカル「Brigadoon」(ブリガドーン)の観賞レポートをお届けしましょう。この作品は、1947年に初演されたもので、当時500回以上、継続上演された作品です。

ブリガドーンは100年ごとに1日だけ現れるスコットランドにある不思議な村。そこへ迷い込んだ2人のアメリカ人青年の物語です。

Volksoperのミュージカルとしては意欲的な作品なのですが、上演回数がPREMIEREを含めて4回と少ないのが特徴。その関係で、変則的なコンサート形式になっていました。

当日の指揮は、Lorenz C. Aichnerさん。出演者は、以下のとおりです。

20191214003-Tommy Albright:Ben Connorさん
-Fiona MacLaren:Rebecca Nelsenさん
-Jeff Douglas:Jeffrey Treganzaさん
-Meg Brockie:Jessica Aszodiさん
-Andrew MacLaren:Vernon Jerry Rosenさん
-Jean MacLaren:Juliette Khalilさん
-Charlie Dalrymple, Jeans Verlobter:Peter Kirkさん
-Harry Beaton:Oliver Lieblさん
-Stuart Cameron:Jakob Semotanさん
-Sandy Dean:Maximilian Klakowさん
20191214007-Erzähler:Christoph Wagner-Trenkwitzさん
-Jane Ashton:Lauren Urquhartさん
-Kate:Sarah Weidingerさん
-Maggie:Mila Schmidtさん
-Dudelsack:Irmgrd Foglarさん
-Dudelsack:Saskia Konzさん
―Trmme:Julia Nuskoさん

Feriも何度もミュージカルをVolksoperで観ていますが、今回はちょっと変わった構成でした。

 まず、オーケストラピットをジャッキアップして、オーケストラは舞台中央に配置、合唱団が、その後ろに陣取るのは、通常のコンサート形式と同じです。

通常、コンサート形式の場合、歌手はスーツやドレスで対応して、舞台衣装を身につけませんが、今回は全員が舞台衣装を身につけている上に、バレエ団も出演します。例によって歌手の皆さんは全員ワイヤレスマイクを使用しています。

20191214006なお、このような変則的な演出のためか、プログラムにはコンサート形式という記述はありませんでした。

通常、Volksoperではブロードウェイ・ミュージカルを上演する場合、ドイツ語吹き替えで行うことが多いのですが、今回は英語上演、ドイツ語字幕というパターンでした。ある意味、新鮮。

オーケストラが舞台中央に陣取っているため、舞台装置はありませんが、後ろにブリガドーンの村や森林、ニューヨークなど場面を連想させる映像が投影されており、雰囲気を盛り上げていました。興味深いのは合唱団の手前にスクリーンが降りる場面が設定されていたことです。

そして、バグパイプの楽団が出演します。この楽団、開演前には、ロビーを練り歩いていました。

20191214002衣装はスコットランドの民族衣装なので、村人の男性はスカートをはいています。ダンスシーンも多く、非常に華やかな舞台に仕上がっていました。

2幕構成ですが、休憩を挟んで上演時間は2時間15分と短めです。正直、ちゃちな舞台装置を使うくらいならば、このような割り切りの方が、好感が持てます。

ブリガドーンは、100年にたった1度、スコットランドに現れる不思議な村。狩にやって来たニューヨーク子のトミーとジェフはスコットランドの高原で道に迷い、一夜を明かすとブリガドーンの村を見つけます。

村ではちょうどジーンとチャーリーの結婚式で賑っています。トミーはジーンの姉フィオナに一目惚れ。

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December 05, 2019

Volksoper「Der Mann von La Mancha」再見

20191204003今日は、先日、今シーズン最終公演が行われたミュージカル「Der Mann von La Mancha」(ラ・マンチャの男)の模様をお届けしましょう。

なお、Volksoperの「Der Mann von La Mancha」については、当ブログではプレミアが行われた2015年12月にご紹介しています(詳しくはこちらから)。

本演目は2015/16シーズンにPremiereが行われた作品です。当時も書きましたが、一言で言えば「MeyerさんのMeyerさんによるMeyerさんのための舞台」といったプロダクションです。当たり前ですが、お客さまも、それを十分承知して来場しているようです。

当日の指揮は、Lorenz C. Aichnerさん。出演者は、以下のとおりです。

20191204007-Don Quixote (Cervantes):Robert Meyerさん

-Sancho (Gehilfe):Boris Pfeiferさん

-Aldonza:Patricia Nessyさん

-Der Gastwirt (Gouverneur):Christian Grafさん

-Der Padre:Mehrzad Montazeriさん

-Dr. Carrasco (Duke):Christian Dolezalさん

-Antonia:Martina Dorakさん

-Der Barbier:Jeffrey Treganzaさん

20191204002-Die Haushälterin:Wolfgang Gratschmaierさん

-Maria, Frau des Gastwirts:Susanne Litschauerさん

-Gefangene:Lorna Dawsonさん

-Gefangene :Josephine Kindlさん

-Jose, Gefangener:Oliver Lieblさん

-Pedro, Gefangener:Thomas Huberさん

20191204006-Juan, Gefangener:Kevin Perryさん

-Tenorio, Gefangener :Markus Schieferさん

-Paco, Gefangener:Maximilian Klakowさん

-Anselmo, GefangenerさんJeffrey Treganzaさん

-Gitarrist(ギタリスト): Jonathan Bolívarさん

20191204005改めて2015年の出演者リストをチェックしたところ、指揮者をはじめ、主な出演者は、ほぼ同じでした。

ただ、Der Barbierが、2015年はThomas Sigwaldさんでした。また、囚人役については、若干、変更されています。そして、既に鬼籍に入っているPeter Matićさんが「声の出演」で登場していました。

固定化されたキャストなので、ある意味、気心が知れていることでしょう。

演出や舞台装置は、2015/16シーズンと同じ。オーケストラピットをジャッキアップし、そこが舞台となっています。本作品は、上演時間が1時間45分で、休憩も設定されていないため、最初から緞帳と防火壁が上がっています。

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November 25, 2019

Volksoper「König Karotte」PremiereReport(下)

20191124001現在、ローマ法王が来日されていますが、カトリックの国、オーストリアでも日本での法王の活動が報道されています。

さて、Volksoper「König Karotte」PremiereReport 3回目の今日は、出演者の仕上がりを含めた雑感です。「König Karotte」は、創作された時代が第二帝政から第三共和政への移行時期であったということを踏まえないと、作品の論評は難しいと思います。

また、現在は、そのような政治的背景はありません。この点を踏まえることがポイントだと思います。なお、DiePresseはWeb版で「So siegt Operette über Korruption」という興味深い標題を付けていました。25日にKURIERの新聞評(紙ベース)を見ましたが、見出しは「Der aberwitzige Wahnsinn hat hier mehr als Methode」。Perter Jarolin氏の評価は何と五つ星(★★★★★)でした。

本作品では第2幕をはじめ「ファランドール」に代表される「フランス特有の旋律」が使われています。Feriは、これがフランスでは、どのように演奏されるのか、オリジナルを聴いたことがありません。この「フランドール」が作品を魅力的にしているようです。ただ、恐らくウィーン風の「ファランドール」になっていると思います。

また、オリジナルはフランス語ですが、本作品はドイツ語上演です。当然、フランス語の歌詞をドイツ語にする訳ですから、その過程でニュアンスが変わることもあると思います。

歌手陣のコメントの前に、今回も全員がワイヤレスマイクを使っています。そのため、歌唱力は明確には評価しかねます。

森氏の論文によるとパリ・ゲテ座での初演では王女キュネゴンド、王女ロゼ・デュ・ソワール、妖精ロバン・リュロンの評価が高かったようですが、今回のPremiereでも女性陣の仕上がりが良かったですね。

20191124005また、興味深いのはソリストにはオペレッタの歌役者だけではでなく、オペラ畑の歌手が起用されている点です。これは、本作品が「オペラ的要素が強い」ことと関係があるのかもしれません。

王女キュネゴンドを務めたJulia Kociさんは、歌、お芝居ともに申し分ありませんでした。こういった計算高い女性を演じると上手ですね。

一方、ロゼを務めたJohanna Arrouasさんも、途中から男装になり、ショートカット姿で登場。声の質がJulia Kociさんとは異なりますが、今回は役に合っていたような気がします。セカンドクルーは、Elisabeth Schwarzさんが予定されています。

そして、妖精ロバンのAmira Elmadfaさんは、歌もさることながら、お芝居と台詞が多いのが特徴。フリドラン一行を導く重要な役ですが、お芝居の仕上がりも上々でした。こちらのセカンドクルーはManuela Leonhartsbergerさんが予定されています。

なお、Amira Elmadfaさんは2016/17シーズンに「フィガロの結婚」(Cherubino役)でハウスデビューを果たしたオペラ畑の方。今シーズンは「König Karotte」で復帰です。

20191124002王子フリドラン24世を演じたのはMirko Roschkowskiさん。ちなみにフリドラン24世は、原作ではナポレオン三世を象徴する人物です。Volksoperの出演は久々ですが、オペレッタの出演は初めて。

本人は不本意かもしれませんが、「だらしない王子」という役(実際は、終始、学生に扮装したまま)をうまく演じていたと思います。オペラ畑の歌手なので、歌唱力もまずまずでしょうか。なお、セカンドクルーはCarsten Süssさんが予定されています。

本作品では、タイトルロールながら、結果的にヒール役となる「にんじん王」には韓国出身のSung-Keun Parkさんが起用されました。フィナーレまで、特殊メイクのままなので、素顔を見ることはできません。本作品がハウスデビューです。

オペラ畑の歌手で、ヨーロッパの劇場で活躍している方。モーツァルト、ドニゼッティの作品に出演しています。何箇所かソロで歌う場面もありますが、なかなか良い歌いぶりでした。しかし、特殊メイクのお陰で存在感は抜群。良い演技に惜しみない拍手が送られていました。ところで、こちらのセカンドクルーはSebastian Reinthallerさん。Feriとしては、是非、観たいところです。

なお、おどろおどろしい特殊メイクで終始舞台で存在感を示す「野菜の家臣」。カーテンコールでマスクを外したらビックリ。女性も含む、多種多様なメンバーでした。

20191124003Feriが、一番、気に入った男性歌手は警察長官ピペルトリュンクを務めたMarco Di Sapiaさん。結構、単独で歌う場面も多く、正直、目立ちます。特殊メイクで、いつもの素顔は見えませんが、歌、お芝居共に申し分ありませんでした。こういう役は上手ですね。

そして、今までオペラでの出演が多かったYasushi Hiranoさんが黒魔術師トリュックで起用されたのも嬉しい限り。しかも、ミステリアスな雰囲気を出すため、台詞の多くを日本語という設定にしたのも頭が下がります。歌、お芝居も良く、怪しげな黒魔術師を見事に体現していました。Feriは、オペラでは何回か観ていますが、今回の方が存在感はありましたね。

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November 24, 2019

Volksoper「König Karotte」PremiereReport(中)

20191123021今日は「König Karotte」の休憩後、後半の様子をお届けしましょう。なお、後半は45分なので、場面転換も早くテンポが良く、冗長な感じはありません。

第3幕
前奏曲の最中から、緞帳の前に「にんじん王」が登場します。緞帳が開くと「宮殿広間」で始まります。本来の4幕版では、3幕の冒頭は宮殿広間ではないそうです。なお、3幕版の第3幕は「にんじん王の宮殿広間」で始まるので、このパターンを踏襲しているようです。

にんじん王はジャムに夢中。そこへ、ロバン、ロゼ、ピペルトリュンクは東洋から来た商人に扮して「にんじん王」に接見。様々な貢ぎ物を「にんじん王」に差し出しますが、その中には巨大なスライサーも‥ これで「にんじん王」のカラダを削る場面も‥

皆が立ち去ると、フリドランが現れ、キュネゴンドを見つけます。魔法のため「にんじん王」の愛人になっているキュネゴンドは「自分は被害者だ」と訴え、フリドランを油断させます。そして、「ソロモンの指輪」をフリドランから奪い取ってしまうのでした(3枚目の写真が、その場面です)。

なお、舞台写真を見るとわかるようにフリドランが王座に座るときは、ちゃんと椅子は正規の形に戻します。

20191123022「にんじん王」を失墜させる作戦は失敗。一行は宮殿から姿を消します。

場面は「」。ロゼはフリドランの「最後の救い」である「魔法の四つ葉のクローバー」を手に入れます。ただ、「魔法の四つ葉のクローバー」には掟があります。最後の葉を摘んで願いを叶えると、使った人間は死んでしまうのです。ロゼはフリドリンに会うため、最初の葉を抜くのでした。健気なロゼ。

なお、「森」の場面は、舞台上ではなく、プロンプターボックス経由で宮殿から逃げたロゼとロバンが、オーケストラピットの中でお芝居を展開します。

その間、舞台には森をイメージしたスクリーンが降りています。そのため、オーケストラピットが見えない席だと、何が起こっているのかよくわかりません。

場面は「アリの王国」に変わります(ここも公式写真が入手できませんでした)。映像を駆使した幻想的なシーン。アリ軍団は、ライトサーベルのような武器を手にしています。そこへロバンとロゼがやってきます。

クローバーの威力でアリ軍団のリーダーはフリドリンとトリュックを解放し、魔女との戦いを支援する準備を整えます。

20191123024アリ軍団は魔女コロカントを捕らえます。そして、ロゼは2番目のクローバーの葉をはぎ取り、フリドリン、ロバン、トリュックと逃げます。

この場面は、後半の見せ場の一つ。オリジナルでは「虫のバレエ」が披露される箇所で、オッフェンバックはかなり苦労したようです。今回、バレエダンサーは出演せず、合唱団がアリ軍団に扮しています。どのようなバレエだったのか、正直、観たかった箇所でもあります。

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November 23, 2019

Volksoper「König Karotte」PremiereReport(上)

20191123102今日オッフェンバック生誕200年を記念して上演が決定したオペラ・フェリー(opéra-bouffe-féerie)「König Karotte(にんじん王)」Premiereの様子をお伝えします。

今回も原則としてVolksoper提供の公式写真を使って舞台の模様をお伝えしますが、必ずしもFeriが皆さまに見ていただきたい場面が提供されていません。その点は、ご了承ください。

昨日もご紹介したように「König Karotte」は、「Orpheus in der Unterwelt(地獄のオルフェウス)」などと異なり、1870年の普仏戦争後に上演された作品で、今まで光が当たることが少なかった作品。そのため、ウィーンのオペレッタ・ファンでも、観たことがないという方が大多数だと思います。

この時期、オッフェンバックの作品に対する一般的な評価は下がっており、マスコミからも手厳しい意見が出されています。

時代は第二帝政から第三共和政へ移行する時期。オッフェンバックは起死回生を図るべく、時代の変化を踏まえて、ボナパルティストであった劇作家サルドゥとともに「König Karotte」の創作と初演に望んだものと思われます。

もちろん、今は21世紀ですから、パリ・ゲテ座で初演が行われた1872年1月とは時代背景が全く異なるのは、言うまでもありません。しかし、「政治体制の変革期」に当時の世相を背景に創作された作品であることを踏まえて、本作品を見ると、違った見方ができると思います。

20191123006また、初演後のマスコミ評も賛否両論があり、当時の知識人の間でも評価が対立していたようです。森氏の論文では、これは「特定の層に対する風刺」を和らげた結果、観客の理解を妨げることにつながったという分析がなされています。

しかし、今シーズンVolksoperが、オッフェンバック前期の代表作である「Orpheus in der Unterwelt(地獄のオルフェウス)」と、新しい試みを取り入れた後期の野心的な作品「König Karotte」をプログラムにいれたのは、オッフェンバックの多様性を伝えると同時に、後期作品の再評価を狙っていると思います。Volksoperの見識の高さを見直しました。当初、変な作品を上演すると思っていたFeriは、赤面の思い‥

ところで、「König Karotte」は、オッフェンバック自身の手で、初演後、オリジナルの4幕版から3幕版に改変したという経緯があります。
もちろん、3幕判、4幕版の両スコアも存在しているようです。

20191123001今回、Volksoperでは3幕版ではなく、あえて4幕版で上演することを決定したのは、非常に興味深いところです。Feriは、残念ながらオリジナルの台本を持っていないので、正確に比較することはできません。実際、森氏の論文を読んだ上でVolksoperの舞台を観ると、正確に4幕版の台本を再現している訳ではないようです。

これは、現在、Volksoperではオペレッタは原則として休憩1回を含み上演時間2時間45分という「基本的な枠組み」があります。そのため、オリジナルの4幕版から、削ったシーンも多々あるようです。

さらにオリジナルは第二帝政から第三共和政へ移行しつつある時代に現体制や改革への風刺を盛り込んだ作品ですから、かなりリスキーです。そのため「示唆的な風刺」が基本だったようですが、今はどんなストレートな表現をしても問題はありません。このように考えると、オリジナルの脚本や演出とは、大きく異なっているのかもしれません。

20191123002なお、本作品はドイツStaatsoper Hannoverとの共同制作で、実際には同劇場で先行上演されたプログラムを移植したようです。

Feriは、Staatsoper Hannoverの「König Karotte」は観ていませんので、比較はできませんが、実際に作品を観た印象では「Volksoperならではの味付け」はしてあると思います。

制作陣ですが演出はMatthias Davidsさん、舞台装置はFischer-Dieskauさん、衣装はSusanne Hubrichさん、照明はMichael Grundnerさんでした。

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November 22, 2019

Soiree Anlässlich der Premiere “König Karotte”von Jacques Offenbach

20191121001今日は11月20日にVolksoperで行われた「興味深い催し様子」をお届けしましょう。

今シーズン、Jacques Offenbachの生誕200年を記念して、Volksoperでは2つの作品が上演されます。一つは前シーズンからの再演である「Orpheus in der Unterwelt」(地獄のオルフェウス)そして、2019/20シーズンでPremiereを迎える「König Karotte」(にんじん王)です。11月20日に行われた催しは、「König Karotte」の作品解説とピアノ伴奏により、一部の楽曲を披露するものでした。

当たり前ですが、ご来場しているのは熱心なファンの皆さま方です。

Magdalena HoisbauerさんがMCを務め、オッフェンバッハのスペシャリストFrank Harders-Wuthenowさん、指揮者Guido Mancusiさん、演出家Matthias Davidsさんらが参加し、オッフェンバックと「König Karotte」に関する考察を展開しました。

また、Premiereに出演予定のJohanna Arrouasさん、Julia Kociさん、Amira Elmadfaさん、Sung-Keun Parkさん、Mirko Roschkowskiさん、Marco Di Sapiaさん、Yasushi Hiranoさんが加わり、「König Karotte」の楽曲を披露。ピアノ伴奏はFelix Lemkeが務めました。

実は「König Karotte」は、日本でもほとんど知られていない作品で、資料が極めて乏しい作品です。Feriは、シーズンプログラムが公開されたタイミングで、各種資料を探したところ、非常に興味深い日本語の論文にたどり着きました。

「オッフェンバックの“にんじん王”初演における“風刺”」-第二帝政と第三共和政の狭間でーという論文で、著者は森 佳子氏(音楽学者)。オッフェンバックに関する著書も多数、出版されています。

この論文は「西洋比較演劇研究」(日本演劇学会分科会西洋比較演劇研究会発行)に掲載されたものですが、オリジナルの入手は困難。ところが、国立国会図書館に所蔵されていることがわかり、コピーを依頼しました。

20191121002森氏はフランスに留学され、音楽修士号を獲得されている方だけに、作品誕生の背景や初演当時の反応など、一次資料を精査された見事な論文。Feriは、滝に打たれたような衝撃を受けました。

そこで、今回は、この論文の一部をご紹介する形で、この催しでも紹介された「König Karotte」誕生の背景をご紹介したいと思います。

オッフェンバックの代表作である「地獄のオルフェウス」(1858年)をはじめ、「美しきエレーヌ」(1864年)、「パリの生活」(1866年)、「ジエロルステイン大公妃殿下」(1867年)など比較的多く上演される作品に対して、「König Karotte」は、1870年の普仏戦争以降に発表された作品です。オペラ「ホフマン物語」以外は、ほとんど上演されることがありません。

「König Karotte」は、オペレット・フェリー(あるいはオペラ・フェリー)と呼ばれる作品で、19世紀中頃に大流行した「フェリー」(夢幻劇)とオペレッタを融合した作品。

とくに「König Karotte」は、フェリーの伝統を最大限に生かした作品なのですが、あまり上演されない背景には、1870年代のオッフェンバックに対する一般的な評価が背景にあるようです。

オッフェンバックは王権に基礎を置く第二帝政期の寵児で、第三共和政の元では、力を発揮できなかったというもの。つまり、「König Karotte」初演時には、オッフェンバックは創作のピークを過ぎていたという見方があったようです。

1870年代に入るとオッフェンバックの評価にも大きな変化が生じ、オペレッタ作品に対する批判も厳しいものが出てきました。

オッフェンバックのオペレッタは、社会批判の機能をもっており、「ブルジョワジーの快楽」と言われた政治的革命が停滞した時代には、観客を煽動する役割を果たしていました。

しかし、第二帝政が崩壊に近づくと、煽動する必要性が低くなってしまい、オッフェンバックの「オペレッタの毒」は、敬遠される傾向にあったようです。

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November 21, 2019

2019/20シーズン「Die Csárdásfürstin」

20191120003しばらく「オペレッタの話題」からご無沙汰していましたが、今日は2019/20シーズン「Die Csárdásfürstin」の模様をお届けしましょう。

2018/19シーズンではORFでのテレビ放映を行うなど、劇場側としても気合いの入っていた「Die Csárdásfürstin」。今シーズンも、当然、継続上演です。

当日の指揮はAlfred Eschwéさん。出演者は、以下のとおりです。
-Leopold Maria, Fürst von und zu Lippert-Weylersheim:Robert Meyerさん
-Anhilte, seine Frau:Sigrid Hauserさん
-Edwin Ronald, beider Sohn:Szabolcs Bricknerさん
-Anastasia Komtesse Eggenberg:Juliette Khalilさん
-Eugen Baron Rohnsdorff:Christian Grafさん
-Boni Graf Káncsiánu:Jakb Semotanさん
-Ferenc Ritter Kerekes, genannt Feri Bácsi:Axel Herrigさん
-Sylva Varescu:Ursula Pfitzneさん
-Sándor von Kiss:Nicolaus Haggさん

20191120002当初、BoniにはMichael Havlicekさんが予定されていましたが、当日になって交代です。

SylvaのUrsula PfitzneさんとEdwinのSzabolcs Bricknerさんは2018/19シーズンのPremiere組ではなく、2016年の来日公演を前にした2015/16シーズン(旧演出)で起用されています。

また、FeriがBoris EderさんからAxel Herrigさんになりました。Axel Herrigさんは、2016年の来日公演でもFeriを演じています。

20191120001演出については、Premiereと同じで、変更はありません。オーケストラの演奏は申し分ありませんでしたが、ちょっと気になったのは、歌手の歌と演奏が合っていない部分があったこと‥ 

お客さまの反応が意外と良かったのが印象的でした。とくにRobert MeyerさんとSigrid Hauserさんの掛け合いは受けていましたね。

一年ぶりですが、正直、この演出は好きになれません。1幕と2幕は、ギリギリ許容範囲ですが、やはり大団円を迎える3幕がねぇ‥戦時色を前面に出しすぎている点も気になりますが、微妙な「恋の駆け引き」が消えてしまい、ストレートな表現になっていることが、Feriとしては不満です。

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October 27, 2019

VOLKS OPER「Das Gespenst von Canterville(カンタヴィルの亡霊)」

201910260010オーストリアでは、週末、夏時間から冬時間へ切り替わります。ウィーン市では、26日から27日にかけて市が管理する時計の時刻調整を実施します。具体的には27日は1時59分の次が、3時00分になります。冬時間の期間は、2020年3月29日まで。

ちなみにオーストリアでは、3月と10月の最後の日曜日に夏時間と冬時間の切替が行われます。オーストリアも、冬模様に突入です。

201910260014さて、今日は「VOLKS OPERのオペラ新作の話題」をお届けしましょう。

ドイツの作曲家Marius Felix Lange氏(マリウス・フェリックス・ランゲ)が作曲したオペラが「Das Gespenst von Canterville(カンタヴィルの亡霊)」です。チューリッヒで2013年に初演され、2014年にベルリンで改訂されました。

VOLKS OPER版は「ピノキオ」の演出を行ったPhilipp M. Krennさんが担当したファミリーオペラです。ハロウィンを前にした10月18日にPremiereが行われました。

20191026011ただ、Feriは、まだ見ていないので、観賞レポートになっていない点はご容赦ください。Premiereの指揮はGerrit Prießnitzさん。主な出演者は、以下のとおりです。

―Sir Simon, Gespenst von Canterville:Morten Frank Larsenさん

―Georg König, Immobilien-Unternehmer:Reinhard Mayrさん

―Virginia, seine Tochter:Anita Götzさん

―Leon, sein Sohn:Lukas Karzelさん

―Noel, sein Sohn:Stefan Bleiberschnigさん

―Mrs. Cecilia Umney, Haushälterin im Schloss :Regula Rosinさん

―David Umney, ihr Sohn :Paul Schweinesterさん

201910260012―Frauke-Beeke Hansen, Assistentin von Georg König :Rebecca Nelsenさん

―Die Stimme von Virginias toter Mutter:Birgid Steinbergerさん

結構、良いメンバーが集まっていますね。ファミリー向けでも、手を抜かないVOLKS OPERらしいところです。また、休憩1回を含んで、上演時間が2時間15分というのも、子供さん連れでも対応できる時間だと思います。

本作品の舞台は、イギリスにある「亡霊が出る」と名高い屋敷。亡霊は新しい住人のアメリカ大使オーティス一家を怖がらせようと奮闘します。

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October 07, 2019

Volksoper「Cabaret」鑑賞記

20191006007各劇場で2019/20シーズンが始まりましたが、本ブログの趣旨に反して「オペレッタの話題」が出てきません。自分で言うのも何ですが、紹介に値する作品が‥

Volksoperのオペレッタ新作は、11月までおあずけ。9月のPremiereがあったのはミュージカル「Cabaret」でした。ミュージカルなのでPremiereは行きませんでしたが、なかなか評判が良いので、先日、観てきました。

ナチスの影響が日増しに強くなるベルリンを舞台にしたブロードウェイ作品。1966年に初演されました。

20191006003キャバレー「キットカットクラブ」を舞台に、イギリス人歌手サリーと、アメリカ人作家クリフォードとの恋と破局を描いた作品です。

また、ドイツ人家主フロウライン・シュナイダーと年上のユダヤ人青果商ヘア・シュルツの「熟年の恋」も、同時並行で描かれます。

なお、本作品は、いつくかのバージョンが存在するようですが、Feriは舞台を初めて観たので、Volksoper版が、どのバージョンなのかはわかりかねます。

20191006006当日の指揮は、Lorenz C. Aichnerさん。主な出演者は、以下のとおりです。

-Conférencier(MC、マスターオブセレモニー):Ruth Brauer-Kvamさん
-Sally Bowles(イギリス人歌手):Bettina Mönchさん
-Clifford Bradshaw(アメリカ人作家):Jörn-Felix Altさん
-Fräulein Schneider(ドイツ人家主):Dagmar Hellbergさん
-Herr Schultz(ユダヤ人青果商):Robert Meyerさん
-Fräulein Kost(アパートの住人):Johanna Arrouasさん
-Ernst Ludwig(ドイツ人):Oliver Lieblさん
-Max(キットカットクラブのオーナー):Jakob Semotanさん
-Piccolo:Matthias Trattnerさん
20191006008-Kit Kat GirlMarianne Curnさん
-Kit Kat Girl:Paulina Plucinskiさん
-Kit Kat Girl:Anja Štrucさん
-Kit Kat Girl:Katharina Wollmannさん
-Kit Kat Girl:Eva Zamostnyさん
-Kit Kat Boy:Jurriaan Blesさん
-Kit Kat Boy:Martin Enenkelさん
-Kit Kat Boy:Maximilian Klakowさん
-Kit Kat Boy:Kevin Perryさん

20191006001まず、舞台装置ですが、回り舞台と吊し物を上手に使いキャバレー店内、シュナイダーが経営するアパート、シュルツが経営する青果店を再現していました。回り舞台なので、場面転換はスピーディです。

また、キットカットクラブの出演者は奇抜なメイクとコスチュームが特徴。退廃的で半体制的な雰囲気がムンムン。いかにもナチスのお気に召さないお店というイメージは見事です。

ブロードウェイ作品なので、幅広い年齢層のお客さまが来場していましたが、若いお客さまから支持を集めている感じがしましたね。 

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September 04, 2019

Savonlinna Festivalに出演したVolksoper

201909030001今日は「Volksoperの話題」をお届けしましょう。

夏休み中の7月30日から8月3日まで、VolksoperはフィンランドのSavonlinna Festivalに出演しましたが、その様子がVolksoperのホームページで紹介されています。

Feriは行ったことはありませんが、Savonlinna(サヴォンリンナ)は、ヘルシンキから250キロほど離れた南サヴォ県の都市で、フィンランド最大の湖、サイマー湖に面したリゾート地です。そのため、夏には多くの観光客が訪れます。

201909030006サヴォンリンナで、初めてオペラフェスティバルが開催されたのは1912年のこと。100年の歴史を誇ります。

ただ、その後、一時、休止となり、1967年に復活し、以来、毎年、開催されています。会場は、この街のランドマークになっているサイマー湖に浮かぶオラヴィ城。

実は、この城はドラゴンクエスト「竜王の城」のモデルになったと言われています。常設の劇場ではなく、仮設の劇場で、色々と制約もあるようですが、観客収容人数は2264名を誇ります。

201909030004しかし、チケットは60Euro~180Euroと、結構、よいお値段。そのため、観劇ができないお客さまのために、期間中、市内のCaféでトークショーなども開催されています。このトークショーには、Volksoperの歌手なども出演しています。

Volksoperは、2015年以来、招待されているようで、今回の演目は「Fledermaus」でした。

オラヴィ城の舞台ですが、横幅はVolksoperの約3倍と広いのですが、奈落が浅いため、日本公演などでおなじみの本劇場で使っている舞台装置は使うことができません。

201909030005そこで、Savonlinna Festival専用の舞台装置が考案され、それに合わせて演出も若干、変更されたようです。

公式写真を見る限り、メルビッシュのように屋外舞台で緞帳がない構造のため、場面転換は暗転で対応したような気がします。

また、リハーサルは、シーズン中の6月にウィーンで行われています。Volksoperからは、ソリストに加えて、合唱団(36名)、オーケストラ(55名)、ウィーン国立バレエ団(20名)、マネジャーや技術スタッフ(26名)が参加しました。

201909030002専用の楽屋がないため、テントづくりの仮設の楽屋が使用されています。また、悪天候の際には気温が低下し、公演は大変だったようです。

参加したVolksoperのアンサンブルは、公演の合間に、リゾート地サヴォンリンナを楽しんだようです。

なお、期間中、5回の公演が行われ、大盛況だったと伝えられています。北欧で真夏に「こうもり」。しかも、Volksoperのアンサンブルによる「野外での上演」というのは非常に興味がありますね。

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