March 29, 2020

歌劇場の動向

20200327011オーストリアでは、今日から「夏時間」に移行しました。オーストリア航空ですが、新型コロナウイルス感染拡大と各国の入国制限を受けて、全便の運行停止を4月19日まで延長しました。フライトをキャンセルした方が、赤字が出ないと思うので、ある意味、賢明な決断と言えるかもしれません。

ところで、コメント欄で興味深い情報をご提供いただきましたが、オーストリアでも医療崩壊を防ぐため、検査は基本的に発症者に絞っています。

それ故に、外出を事実上、禁止し、接触感染を防止してる訳です。28日、15時現在、感染者数は7995名、死者は68名です。感染者の増加は、若干、低くなってきているようです。また、先日、年代別感染者数が発表されました。

これを見ると、45歳~54歳が最も多く、次に多いのが64歳以上です。逆に5~14歳、5歳以下は非常に少なくなっています。やはり成人で経済活動を行っている人は、色々な人と接触するため、感染者が増えているのかもしれません。

各種の規制により経済活動も制限を受けているオーストリアですが、劇場関連の話題をお届けしましょう。

3月27日の時点では、オーストリア劇場連盟所属の各劇場は4月13日まで休演となっています。ただし、現在、4月と5月の全公演はCulturallでもチケットの販売が休止されています。

20200327001これは公演中止が継続された場合、チケットの払い戻し対応が負担になることを考えているのだろ思います。つまり、状況が流動的であることを物語っています。

さて、チケットの販売も関係するので気になる来シーズンの予定ですが、4月24日に予定されていたVolksoperWienの2020/21シーズン記者会見は中止が決まりました。新しい日程は未定です。

一方、Wiener Staatsoperについては、4月26日11時(現地時間)に2020/21シーズン記者会見が実施される予定です。

それを受けて、Culturallでは4月29日、14時から2020/21シーズンのチケット予約を開始する予定になっています。ただ、これは劇場側が来シーズンのプログラムを予定どおり発表した場合の対応なので、4月26日の状況次第と考えた方が良さそうです。

先日もお伝えしたように、現在、各劇場のボックスオフィスは閉鎖されています。

20200327002なお、グラーツでは4月13日以降の公演については、チケット販売を継続しているようですが、変更や休演の場合があることが明示されています。

なお、休演したチケットを持っている方は、キャンセル以外に別の公演(2020/21シーズンを含む)への振替もできるようです。また、グラーツは、2020/21シーズン記者会見についての情報は、現時点では入手できませんでした。

今シーズンの公演がどうなるかが決められないため、状況によっては来シーズンの公演プログラムにも影響が出ると思います。例えば、公演休止になった期間中に実施予定だったPremiereの扱いなのです。その関係で、通常は4月上旬に記者会見が延期されているのでしょう。

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March 15, 2020

再開が待ち遠しいVolksoper 定番ミュージカル「My Fair Lady」

Vo_my_fair_lady_31Volksoperの公演が4月2日まで全面休止になったため、しばらく「Volksoperの話題」をお届けすることができません。そこで、公演中止前にFeriが観た「ミュージカル鑑賞記」をお届けしましょう。

Volksoperの古典ミュージカルには定評があります。演出、舞台装置、出演者ともに、オペレッタよりも素晴らしい公演が多いのも事実。

その一つがブロードウェイ・ミュージカルの代表「My Fair Lady」でしょう。

特に本作品は名匠Robert Herzl氏が演出を担当している作品だけに、素晴らしい舞台に仕上がっています。何しろ250回以上上演されている鉄板ミュージカル。

Feriが観た日、指揮はLaszlo Gyükerさん。主な出演者は以下のとおりでした。

Vo_my_fair_lady_42-Eliza Doolittle:Lisa Habermannさん
-Henry Higgins:Axel Herrigさん
-Oberst Pickering:Josef Luftensteinerさん
-Alfred P. Doolittle:Robert Meyerさん
-Mrs. Higgins:Marianne Nentwichさん
-Mrs. Pearce:Martina Dorakさん
-Freddy Eynsford-Hill:Alexandre Beuchatさん
-Mrs. Eynsford-Hill:Regula Rosinさん
-Harry:Maximilian Klakowさん
-Jamie:Oliver Lieblさん
-Butler:Franz Suhradaさん
-Mrs. Higgins' Zofe:Susanne Litschauerさん
-Erster Obsthändler:Frederick Greeneさん
-Zweiter Obsthändler:David Buschさん
-Dritter Obsthändler:Heinz Fitzkaさん
-Vierter Obsthändler:Raimund-Maria Natiestaさん
-Erste Zofe:Katharina Ikonomuさん
-Zweite Zofe:Christiane Costisellaさん
-Erster Diener :Iliyan Metodievさん
-Zweiter Diener: Tibor Levayさん
-Dienerin: Nora Drimbaさん
-Blumenmädchen:Klaudia Nagyさん

Vo_my_fair_lady_18毎回、書いていますが、Volksoperのミュージカルは原則としてドイツ語上演です。イギリスのお話なのに、コテコテの「オーストリア訛りのドイツ語」で会話をしている訳ですから不思議な感じ。

しかし、それ故に今回も地元のお客さまの反応が素晴らしかったですね。

最近、Eliza はJohanna Arrouasさんが起用されるケースが多かったですが、今回はLisa Habermannさん。2017/18シーズンのミュージカル「Gypsy」でハウスデビューを果たしました。

顔が小さい長身の方で、なかなか良い雰囲気でした。歌、お芝居ともに良かったですね。今シーズンはオペレッタ「Meine Schwester und ich」でDollyとしても出演します。こちらも楽しみなところ。

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March 12, 2020

公演中止決定雑感 追記あり

202003120033月10日、午後に突然、発表された「3月30日まで、各劇場の公演中止決定」には、Feriも正直、驚きました。

というのは、オーストリアでは感染者が206名(3月11日朝の時点、4名は回復して退院)ほどで、特定の場所から感染者が爆発的に広がったという例は報告されていないからです。

なお、「100名以上」というのは、劇場などだけではなく、レストランなどの飲食店も含まれます。ということは、大規模ホイリゲも休業ですね。

日本でもライブハウスから感染が広がった例があるので、閉鎖空間である劇場は非常にリスクが高いことは解ります。ある意味、予防的措置なのかもしれません。

チケットに関してはCulturall経由で購入した方は、発券済みであっても自動的に払い戻し手続きが行われるようです。また、窓口で購入したお客さまは、6月30日まで払い戻しが可能だそうです。

20200312002また、博物館に関しても3月末までの全面閉館が決定しました。さらに参加者500名を越える屋外イベントも中止になりました。大学も閉鎖されていますが、講義はインターネット経由で行われています。約2週間遅れで日本の後を追っている感じがします。

ところで、Volksoperの3月10日公演はミュージカル「My Fair Lady」でした。9日も同じ演目でしたので、どの程度、チケットが売れていたかはわかりませんが、ミュージカルは入りが良いので、劇場側としてもショックだったと思います。

30日までには、「Rigoletto」の再演初日(本日、13日)、バレエ「La Piaf」のPremiere(28日、公開ゲネプロは25日)が予定されていましたが、全部キャンセル。

4月以降、Volksoper得意のプログラムの組み替えが行われる可能性があります。Volksoperでは、このような非常時以外でも、人気がある演目は、突然、別の演目と差し替えてしまうことがあります。

20200312001Feriも、かつて数回、経験しました。オペレッタの演目が変わる、ニュージカルがバレエになるなどです。その場合、見たかった公演へ振り替えてくれるようですが、滞在日程が決まっている場合、そんな器用なことは不可能ですよね。

3月中旬以降、Volksoperでは珍しくオペレッタの「Meine Schwester und ich」と「Der Zigeunerbaron」が連続で公演されるようになっていました。更に25日には「Die Fledermaus」も上演される予定だったので、27日までオペレッタ三連ちゃん。

最近では珍しいプログラム構成。いつものFeriだったら、狙っていた日程でしょうが、今年は諸般の事情で、この日程での観賞は当初から計画していませんでした。

問題は4月以降がどうなるか‥という点です。昨日、Volksoperから連絡があり、4月2日まで休演が決まりました。現時点での再開は4月3日の予定です。Volksoperの場合、4月4日から14日まではイースター割引でチケットが発売されています。

そのため、多くの方が割引でチケットを購入している可能性が高いだけに、劇場側としては、何とか公演再開に持ち込みたいと思います。
また、Culturallでは4月分については、現時点では通常どおり販売していますが、これから買う人は躊躇しますよね。

当初のプログラムでは、4月1日がバレエの「La Piaf」なので、ここにPremiereを持ってくるという手もあります。

20200312004ただ、日本でもイベント自粛要請が延長された例を見ると、4月上旬のPremiere再設定は非常にリスキーでしょうね。当初のプログラムでも、6日、17日に「La Piaf」が入っているので、イースター明けの17日当たりにPremiereを再設定して準備を進めるかもしれません。

また、オペレッタファンお待ちかねの「Die lustige Witwe」の再演初日は4月9日。これも微妙な日程。万が一、4月に1週間から2週間、公演中止が指示されると、引っかかる可能性が大。

また、今後、感染の拡大に伴い人の移動が制限されると、客演の出演者が移動できないという問題が出てくるような気もします。一応、仕事上の移動は、現時点では法令での制限がないようですが、出演者が難色を示すケースも考えられると思います。

そうなるとカバーだけでは対応仕切れないケースも‥

いずれにしても劇場側は急な決定だけに、スタッフはてんてこ舞いでしょう。

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March 11, 2020

臨時更新 3月末まで、各劇場の公演中止決定

202003111013月10日、オーストリア政府はコロナウィルス対策の一環として、新しい対策を発表しました。

この中には「3月末まで観客が100名を越える屋内イベントは全て中止」という指示が含まれています。これを受けて、ウィーンでは国立歌劇場、Volksoperを始めTheater der JugendやTheater in der Josefstadt.なども本日(3月10日)からの全公演中止を発表しました。

チケットの払い戻しなどについては、チケットを持っている方に劇場側から直接、連絡が入ることになっていますが、いずれも手数料無料で払い戻しが行われる予定です。

なお、この決定は10日15時であったため、当日、劇場に足を運んでしまったお客さまも多かったと思います。

202003111023月末までにPremiereが実施される演目(3月28日PremiereのVolksoper バレエ「Piaf」など)もありますが、これらは全て中止になりましたので、公演スケジュール変更などが後日、案内されると思われます。

すでにウィーンにお越しになっている皆さまにとっては、大変、ショックだと思います。Feriも自分の経験の中で、政府の指示で一斉に劇場が休演したというのは、今回が初めてです。

なお、対象が「観客100名以上の屋内イベント」なので、大劇場以外の公演も多くが中止になると推察されます。

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March 03, 2020

「Der Zigeunerbaron」PremiereReport(その3)

Zigeunerbaron_0013回連載の「Der Zigeunerbaron」PremiereReport。今日が最終回です。明日から通常モードに戻りますので、オペレッタの関心のない方は、ご容赦ください。

さて、演出に関しては、Feriも含めて不満の向きが多い「チャールダーシュの女王」に比べれば、良いと思います。ただ、ジプシーの場面を中心に暗い場面が多いのは、致し方ないかもしれません。ある意味、民族対立を鮮明にしたいという意図があるのでしょう。

20200301006全体的にハプスブルク家のハンガリー統治に対して批判的な感じを受けました。ただ、オリジナルの設定を極端に改変していない点は「チャールダーシュの女王」よりは評価できます。

左の写真はカーテンコールに登場した制作スタッフですが、ブーはありませんでした。

○歌手の仕上がりなど
タイトルロールのバイリンカイを演じたLucian Krasznecさんは、Volksoperでは2016年「乞食学生」のシモンでハウスデビュー。その後、「チャールダーシュの女王」でエドウィンを演じています。

Zigeunerbaron_ohp_110エドウィンの評価は「歌の仕上がりは次第点」。今回はマイクなしで実力が問われます。頑張っていましたが、聞かせる歌では声の出方が、不十分。正直、不満の残る仕上がりでした。

一方、リザーブ組のMarco Jentzschさんは2019/18シーズン「ホフマン物語」でハウスデビューを果たした方で、今シーズンはバイリンカイのリザーブに起用されました。

オペラ出身の方らしく公開ゲネプロでは、素晴らしい歌声を披露しています。正直、バイリンカイはリザーブ組の勝ち。

20200301005ザッフィも、本作品ではキーを握る重要な女性。Kristiane Kaiserさんは2004/05シーズンからアンサンブルとして活躍している方。主にオペラ演出が多いので、声もよく出ていて、歌、お芝居共に見事でした。

リザーブ組のKatrin Adelさんは、ドイツ出身のオペラ歌手で、ドイツの歌劇場で多数のオペラに出演しています。

Volksoperは今回が始めたてのようですが、歌、お芝居共に素晴らしいものがありました。どちらが良いかは、好みの問題になると思います。

ツィプラはMartina Mikelićさん。この方も、どちらかというとオペラ畑の歌手だけに、歌については安定感がありました。

20200301007とくに「カルメン」でタイトルロールを歌っているので、この役にはピッタリです。オペレッタでは「地獄のオルフェ」ではヴィーナスに起用されています。今回は妖艶な感じが良かったですね。

本作品は、聞かせる歌が多いので、お芝居とともに歌のうまさがポイントになります。

20200301004リザーブ組は安定感抜群のAnnely Peeboさん。雰囲気、お芝居、歌ともに申し分ありません。

ジュパーンは広告の写真にも掲載されたKurt Rydlさん。なかなか芸達者な方。押し出しも強く、この役にピッタリという感じがしました。

リザーブ組は、おなじみのGerhard Ernstさん。ゲネプロで拝見しましたが、お芝居は申し分ありません。甲乙つけがたい感じですね。

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March 02, 2020

「Der Zigeunerbaron」PremiereReport(その2)

Zigeunerbaron_ohp_126今日は休憩を挟んで、「Der Zigeunerbaron」の後半をお伝えしましょう。

第2幕 テメシェ県のジプシーのキャンプ
バリンカイは皆の反対を押し切り、このジプシーのキャンプで、ザッフィと情熱的な一夜を明かします。ツィプラはこの2人を易しく見守っています。

バリンカイは「妻よ起きなさい」とザッフィを起こすが、彼女は彼に體を許しているのに、「結婚するなんて冗談でしょう」と信じません。

バイリンカイは「君は僕の本当の妻だ」と「昨日の夜」を歌います。2人は声を合わせて愛の喜びを歌うのですが、2幕最初の聴きどころ。

その時、ツィプラが昨夜、夢のお告げがありましたよと言って現れ、「若き領主が恋人と初夜を契るところに宝がある」と夢の中に老人が現れて告げたと言います。

そんな馬鹿なと言いながらバリンカイが昨夜、彼女を抱いた塔の壁を崩すと財宝がざくざくと出てきます。財宝の山を見て、三人は「ああ見てご覧、きんきら光り、美しい音を立てる」と歌います。

Zigeunerbaron_ohp_116この時、オットカールが物陰から財宝発見の一部始終を見ていました。

夜も明けきってジプシー達が起きてきて、過酷な労働が始まります。鍛冶屋の場面なのですが、鉱山の採掘現場のような設定でした。

そこへジュパーン、オットカールらがやって来て、バリンカイの見つけた宝を見て悔しがるのでした。

カルネロはバリンカイが本当に結婚したというのを聞いて「誰が結婚式を執り行ったのか」とたずねます。バリンカイとザッフィは「コウノトリの司祭に青空の御堂」と歌いますが、カルネロは「そんな破廉恥な行為は風俗取締委員会にかけてやる」といきまきますが、バリンカイらは気にもとめません。

Zigeunerbaron_ohp_117そこへテメシュ県知事のホモナイ伯爵が徴兵官としてやって来て元気よく徴兵の歌「さあ、手を差し伸べて、恋人と別れよ」と歌い、皆に徴兵の酒を勧めるのでした。

前演出では、ここは派手な格好の女性兵士(キャンペーンガール)が登場し、男たちをたぶらかすのですが、本演出では正統派に近い展開。ホモナイ伯爵は、オットカールに「戦争で武勳を立てて男になるのだ」と迫ります。

酒を飲んだら兵隊になる義務があるとも知らず、酒に目のないジュパーンとオットカールは杯を受けてしまい、スペイン戦線に出征するため、まずウィーンへ行くことへ。

アルゼーナとミラベルは「ウィーンのように喜びに満ちた街は何処を捜しても他にない」と歌います。

Zigeunerbaron_ohp_131カルネロはホモナイ伯爵にバリンカイとザッフィの関係を説明し、汚らわしいジプシーの娘との結婚など認めませんようにと訴えます。

それを聞いてツィプラは、ザッフィはジプシーの娘ではない、由緒正しき方のお嬢様と1枚の証明書を伯爵に差し出します。

伯爵はそれを見て、彼女がこの地方の最後のトルコ太守の娘であることを皆に発表。

ザッフィは喜びますが、バリンカイは「私はジプシーの娘と結婚したのであって、太守の娘となれば自分には彼女と結婚する資格がない」と言いって、徴兵の酒をあおぎます。

Zigeunerbaron_ohp_132悲しむ女達を残して、男たちは「愛は祖国に捧げよう」と元気よく出征していきます。

この場面では、回り舞台が上がり、下(奈落)から骸骨姿の人物が多数登場。戦場が地獄(戦死を覚悟して戦地に赴く決意)であることを暗示しているのでしょう。まぁ、この程度はOKかな。暗転で3幕へ入ります。

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March 01, 2020

「Der Zigeunerbaron」PremiereReport(その1)

Zigeunerbaron_ohp_001コロナウイルスの蔓延で自粛ムードの日本ですが、ウィーンは平常モード。2月29日、2019/20シーズンで注目のオペレッタ「Der Zigeunerbaron」(ジプシー男爵)のPremiereが盛大に行われました。

Volksoper得意のシュトラウスもの、かつ定番オペレッタだけに、楽しみでもあり、心配でもあります。

何しろ、2005/06シーズンでPremiereが行われた「Der Zigeunerbaron」では、3幕で出征した兵士の子供が遊ぶなか、兵士達が全員英霊となって帰還するという、オリジナルを冒涜するような演出でした。

さて、今回、演出を担当したPeter Lundさんは、過去にVolksoperで「Frau Luna」(2012/13シーズン)、「Axel an der Himmelstür」(2016/17シーズン)、そして「Die Csárdásfürstin」(2018/19シーズン)の演出を担当しています。

作品毎に演出の詳細は異なりますが、共通しているのは「映像」(動画)を多用する傾向にあること。また、ドイツ出身であるためか、Feri個人としては反戦志向が強いように感じます。

Zigeunerbaron_ohp_005まぁ、自分が原作を考えた作品であれば良いのですが、自分の思想でオリジナル作品を改編するのは、正直、Feri個人としては抵抗があります。何しろ作品が生まれた時代背景が違いますから‥

本作品は1885年(明治18年)10月24日、アン・ディア・ウィーン劇場で初演が行われました。当日はシュトラウスの60歳(還暦)の誕生日前日。1885年と言えば、自由の女神像がニューヨーク港に到着した年。

短期間で書き上げたといわれる「こうもり」と異なり、シュトラウスはこの作品を2年の歳月をかけて作曲しており、オペラに近い作品です。

実際、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフⅠ世は、本作品気に入り、劇場の皇帝席にシュトラウスを呼び寄せ、“シュトラウス君、君のオペラを余は、とても気に入った”と言ったという逸話も残っているようです。皇帝にオペラと認められたことがシュトラウス本人も嬉しかったようです。

制作陣は演出がPeter Lundさん、舞台装置がUlrike Reinhardさん、衣装がDaria Kornyshevaさん、振付がFlorian Hurlerさん、映像がAndreas Ivancsicsさん、合唱指揮がThomas Böttcher さんです。

Zigeunerbaron_ohp_007指揮はAlfred Eschwéさん。主な出演者は、以下のとおりです。なお( )内は公開ゲネプロに出演したメンバー(リザーブ組)です。
-Sándor Bárinkay, ein junger Emigrant:Lucian Krasznecさん(Marco Jentzschさん)
-Czipra, Zigeunerin:Martina Mikelićさん(Annely Peeboさん)
-Saffi, Zigeunermädchen:Kristiane Kaiserさん(Katrin Adelさん)
-Kálmán Zsupán, ein reicher Schweinezüchter im Banat:Kurt Rydlさん(Gerhard Ernstさん)
-Arsena, seine Tochter:Anita Götzさん
-Mirabella, ihre Erzieherin:Regula Rosinさん(Elisabeth Flechlさん)
-Ottokar, ihr Sohn:David Sitkaさん(Johannes Straußさん)
-Conte Carnero, königlicher Kommissär:Boris Ederさん
-Graf Peter Homonay:Marco Di Sapiaさん(Morten Frank Larsenさん)
-Páli, Vorarbeiter :Hubertus Reimさん

余談ですが、バイリンカイの名前はSándorなのです。思わずFeri憧れのおじさまSándor Némethさんを思い出してしまいます。やはりハンガリー色の強い作品です。

Zigeunerbaron_ohp_021実は27日に公開ゲネプロがありました。通常、Premiereと同じ歌手が起用されるのですが、今回は上記のようにリザーブ組(セカンドクルー)。唯一Premiere組だったのはアルゼーナのAnita Götzさんだけでした。

Volksoperの場合、リスクテイクの観点からリザーブ組の方に安定感がある歌手を起用するケースが多く、そういう意味ではPremiereはちょっと心配。

なお、今回は公開ゲネプロ(今回はリザーブ組が出演)に加えて、公式写真撮影も含めたPremiere組を使ったゲネプロも、別途、行われたという話を耳にしました。

Feri個人の感想ですが、トータルで見るとリザーブ組の方が仕上がりは良かったような気がします。歌手の仕上がりについては、別途、ご紹介する予定です。ただ、さすがにVolksoperだけあって、ヨハン・シュトラウスものは強いですね。演奏はすばらしいの一言。さすがAlfred Eschwéさんです。

興味深いのは、最近のオペレッタ新演出では、ワイヤレスマイクを使うケースが多かったのですが、今回は使用されませんでした。これは、本作品がオペラに近いことから実現したものと思われます。それだけに歌手の実力が良くわかります。

Zigeunerbaron_ohp_045最近のオペレッタの例に漏れず舞台装置は比較的シンプルで、回り舞台を使っていますが、メインは建物の壁です。それに小道具を組み合わせて変化をつけるというパターンです。

また、一部、奈落を上手に使っている場面もありました。ジブシーのキャンプなどは、全体的に暗い感じにしており、成金ジュパーン達とは対比を明確にしている感じです。

あえてオーストリアが支配下に治めたハンガリーでは、民族が二極化しているという背景をモチーフにしているように感じました。

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February 28, 2020

Volksoper Spezial「Zwangsvorstellung」

2020022700127日、ウィーン市内で新たに1名の新型コロナウイルス感染の確定症例が報告されました。新型コロナウイルスに感染したのは72歳の男性です。ウィーン市内で新型コロナウィルス感染が確認されたのは初めてです。

政府も対策に追われています。ただ、日本のようにマスクをする習慣がない上に、特別な事情がないと、現在はマスクの着用ができないため、街の中は普通モードです。

という訳でFeriは通常モード。今日は、Volksoperで26日に上演された「Zwangsvorstellung」という公演の模様をお伝えしましょう。

副題が「Ein Karl-Valentin-Abend」となっているように、ちょっと変わったプログラム。「ドイツのチャップリン」とも言われる自作自演のコメディアン(歌手、作家、映画制作者でもありました)Karl-Valentinの作品を取り上げたものです。

ある意味、Robert Meyerさんと一脈通じるものがあります。

当日は、意外とお客さまが入っていましたが、Galerieは閉鎖していました。そのため、予約サイトを見ると、満席に近く見えます。

20200227002出演はDirectorのRobert Meyerさんだけ。お得意の一人舞台で、マシンガントークが炸裂。

寸劇の間に、民族音楽の演奏(5人編成)が入るという演出です。その間、Robert Meyerはお色直しをします。お色直しも楽屋で行うのではなく、舞台上で行うという変わった展開。 

当たり前ですが、お客さまの大多数は地元の方。Robert Meyerさんのお芝居が大受け。Feriの後ろに座っていた男性は、終始、爆笑していました。

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January 14, 2020

「Gräfin Mariza」再演レポート(下)

20200113002

昨日に引き続き「Gräfin Mariza再演レポート」をお届けしましょう。演出に関しては、前回のものを踏襲しており、大きな変更はありません。

「謎の少女」がストーリーテラーとして、Tschekkoと一緒にポイントで舞台袖から登場します。本筋とは余り関係がないので、この演出は、どうかな‥と思っています。

また、ジュパンが1幕でマリッツァに強烈にアプローチする場面では、例によってジュパンと同じ格好をしたダンサーが12名登場し、ジュパンの熱意を表現しています。

ここも、やり過ぎの感がありますが、まぁ、テンポの良い踊りがメインなので、ギリギリで許容範囲と言えるでしょう。なお、Jakob Semotanさんは、体格が良いので、群舞の中でも存在感があり、埋もれることはありませんでした。これは、非常に良かったですね。

20200113001また、ジュパンがリーサにアプローチする場面は、Jakob SemotanさんとJuliette Khalilさんの体格が随分違うため、ユーモラスな感じが強調されていました。2人の息もあっていましたね。

また、出番は少ないですがキーパーソンとなっているマニャはAnnely Peeboさんだったので、抜群の歌唱力で存在感を発揮していました。前回の上演時にも、Annely Peeboさんがよく起用されていたので、役作りも完璧でした。

また、2幕のタバリンの場面では「Die Bajadere」の楽曲が使われて、バレエ団による華麗なダンスが披露されるのは従来どおりです。

オペレッタでは、リフレインがポイントになるケースが多いのですが、本演出では、3幕のハイライトであるマリッツア、ポプレスク、ジュパンの三重唱のリフレインが1回と少ないのが残念。

これは、3幕の時間短縮を図るためだと思うのですが、リフレインの途中で舞台が回り、ボジェナ侯爵夫人とペニジェクが登場する演出です。

202001120073幕については、お芝居が中心になりますが、ボジェナ侯爵夫人とペニジェクの掛け合いが大受けでした。ベテランのHelga PapouschekさんとRobert Meyerさんですから、アドリブも含めて、見応えのあるお芝居でした。

なお、ボジェナ侯爵夫人とポプレスク侯爵の再会場面については、過度な演出ではなく、好感が持てます。

3幕後半では、リーサとジュパン、ボジェナ侯爵夫人とポプレスク侯爵、ペニジェクが一緒になって歌う場面が見どころですが、ここもリフレインがないのが寂しいところ。

Feriは、4年ぶりに観たわけですが、Karsten Januschkeさんの指揮もよく、カールマンらしい躍動感あふれる楽曲の演奏は見事でした。

カーテンコールでは、Caroline Melzer とJuliette Khalilさんに花束が投げ込まれました。オペレッタの花束は久しぶりですね。

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January 13, 2020

「Gräfin Mariza」再演レポート(上)

20200112001日本では、今日は「成人の日」でお休みですね。華やかに着飾った若い方が街中で見られることでしょう。12日の日曜日、ウィーンは快晴。気持ちの良い1日となりました。天気が良いと、散歩が好きなウィーン子は、一斉に繰り出します。Feriも、その1人‥

さて、2020年、最初の「オペレッタの話題」は、Volksoperの「Gräfin Mariza再演レポート」をお届けしましょう。

2019/20シーズン、VolksoperでFeriが期待していたのは、カールマンの傑作「Gräfin Mariza」の再演です。

Feriは1998年からVolksoperでオペレッタを観始めましたが、今日に至るまで、同一演目でPremiereを3回経験した作品が「Gräfin Mariza」です。

最初は2002/03シーズン(Premiereは2002年12月)。この演出は場面設定を全面的に変えてしまった上に、3幕がテレビショーの形式をとるなど、正直、最悪の作品でした。

なにしろ収容所のような農園に、カリビアンバンドが出てくるのですから‥Volksoperの「オペレッタ暗黒史」と言える演出です。

その後、ブダペストとの共同制作による新演出が2006/07シーズンにPremiereを迎えました(Premiereは2006年12月)。本演出は、正統派に戻り、明るく楽しい舞台に仕上がっており、Feriは最も気に入った「Gräfin Mariza」でした。

Sándor Némethさんがポプレスク公爵に起用されるなど、キャスティングも良かったという印象です。

20200112004ただ、ブダペスト色が強かったことが影響したのか、2013/14シーズンに再度、演出改定が行われました(Premiereは2014年3月)。最近の傾向で若干、暗い舞台になりましたが、舞台設定やお話の展開はほぼオリジナルのままで、安心しました。

本作品は、3幕がお芝居中心なので、その対応が鍵を握ります。この演出ではペニチェクにRobert Meyerさんを起用し、お芝居で魅せる展開にしたのが、良かったかもしれません。

本作品は2シーズン上演されたものの、その後、残念なことに上演が途切れてしまいました。

そして、2019/20シーズンに再演が決まったものです。Volksoperの場合、上演期間が途切れると、新演出に切り替える傾向があったのですが、最近は「地獄のオルフェ」、「ヴェネチアの一夜」など、出演者は変わりますが前演出を踏襲するケースが増えてきました。

ある意味、良い演出ならば、無理に演出をかえる必要はないので、結構なことです。

Feriが出演者を観て喜んだのはタイトルロールのGräfin MarizaにCaroline Melzerさんが起用されること。

それでは、再演初日の様子をお伝えしましょう。久しぶりに「オペレッタらしいオペレッタを観た」というのが、Feriの率直な感想でです。

指揮はフリーの指揮者Karsten Januschkeさん。今シーズンは、本演目だけの担当です。余談ですが2019年5月、日本の新国立劇場で「Don Giovanni」を振っています。

主にドイツの歌劇場への出演が多いようです。オペレッタは2018年にVolksoperで「Zirkusprinzessin」を振っていますが、Feriは観ていません。

20200112003主な出演者は、以下のとおりです。
-Gräfin Mariza:Caroline Melzerさん
-Fürst Populescu:Toni Slamaさん
-Baron Koloman Zsupán:Jakob Semotanさん
-Graf Tassilo:Carsten Süssさん
-Lisa, seine Schwester:Juliette Khalilさん
-Karl Stephan Liebenberg:Nicolaus Haggさん
-Fürstin Božena:Helga Papouschekさん
-Penižek, ihr Kammerdiener:Robert Meyerさん
-Tschekko, ein Diener:Franz Suhradaさん
-Manja, eine Zigeunerin:Annely Peeboさん
-Ein Mädchen:Emma Westerkampさん

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